2021年度第3回領域若手研究会
2021年度第3回領域若手研究会
2022年 1月31日、Zoomを利用して、2021年度第3回領域若手研究会が開催されました(共催:中央大学人文科学研究所研究会「視覚と認知の発達」)。
日時:2022年 1月31日(月)16:00~17:30
講演者:川合 伸幸先生(名古屋大学教授)
参加者:20名@zoomオンライン
講演タイトル:生得的な脅威を検出する視覚機構とその進化
講演要旨:ヒトは脅威の対象(怒り顔や危険な動物)をすばやく見つけます。このことで危険から遠ざかり生存しやすくなりますが、これは経験によって学習した情動反応なのか、生得的な脅威感知機構のどちらによるものでしょうか。ヒトはさまざまな対象を怖れますが、誰もが怖がる対象があります。それがヘビです。いまでも毎年多くの人がヘビによって命を落としていますが、霊長類が出現した頃から私たちの祖先の捕食者だったのが唯一ヘビなのです。サルやヒト幼児・成人が、ヘビをどのように検出・認識しているかを、行動実験や脳波の実験によって調べてきました。これらの一連の研究をご紹介します。
これらの研究結果は、霊長類がヘビの補食圧に対抗するために脳の視覚システムを進化させて、ヘビを早く正確に見つけるようになったと考えるヘビ検出理論を支持するものです。その理論のほかに、ヘビのどの視覚特徴が早く正確な検出を担うかや、皮質でかなり速い処理をしているとの仮説も(時間があれば)お示しします。
川合伸幸先生(名古屋大学)に『生得的な脅威を検出する視覚機構とその進化』と題して、ヘビに対する霊長類の反応についてご講演いただきました。講演ではヘビに対するサルやヒトの反応について様々な研究をご紹介いただきました。特に、ヘビの色や形状などの特性に着目した研究から、ヘビに対する恐怖はウロコが原因であるとご紹介いただきました。ヒトがヘビの脅威にさらされない環境で生活するようになっても、進化の過程で獲得した脅威に対する反応が今でも残っていることに大変興味深く感じました。
(by Y. Tsuji, Chuo University)