9月26日 A01班を中心に、義足のダンサーとしてパラリンピック開会式にも出演された森田かずよ氏をお招きし、公開ワークショップを開催しました
日時:9月26日 14:00〜16:30
会場:zoomオンライン
参加者:106名
登壇者(敬称略):
森田かずよ(俳優、ダンサー、performance for All Pleple-CONVEY-主宰)
井桁裕子(人形作家)
草山太郎(追手門学院大学)
司会:床呂郁哉(東京外国語大学)
対談進行:田中みわ子(東日本国際大学)
本ワークショップは、司会の床呂郁哉先生(東京外国語大学)から冒頭にご挨拶と趣旨説明があり、顔身体学における本ワークショップの位置づけについてお話いただきました。顔身体学の中でも、床呂郁哉先生を代表とする「顔と身体表現の文化フィールドワーク研究」班では、身体の多様性や文化的差異などの問題にこれまでもアプローチしてきており、今回の企画も、身体の可能性や多様性について問いなおすことを企図して開催されました。
前半は、義足のダンサーとしてご活躍されている森田かずよ氏(俳優、ダンサー、performance for All Pleple-CONVEY-主宰)の映像作品『アルクアシタ』(2012)の上映と作品解題でした。本作品は、車椅子で移動する/義足で歩く/裸足で這うといった森田氏の3つの身体性から、「歩く」という身体の行為そのものを捉えなおし、表現した作品であるということ、また、ご自身の身体の変化を見つめながら、その時々の身体性によって変化していくダンスであることをお話いただきました。
後半は、森田かずよ氏と井桁裕子氏(人形作家)による対談でした。森田氏は『アルクアシタ』の創作と同時期に、ご自身の「人形」を創作しています。この《片脚で立つ森田かずよの肖像》(2015)の制作のプロセスにおいて、二人の間にどのような身体の発見があったのか、そして作品を展示することは、どのような意味をもつものだったのかをそれぞれの立場からお話いただきました。お二人の出会いから、森田氏の<リアルな身体>と、人形としての<リアルな身体>との違いについて、また、人形を展示するにあたり、「障害のある女性でありヌードである」ということが含みもつ問題についても話が及びました。
対談後は草山太郎氏(追手門学院大学)よりコメントをいただきました。対談の内容をまとめられた上で、当時大阪と東京で離れていたお二人の人形制作のプロセスを「遠距離恋愛のよう」だと喩えられました。その後、全体討論と質疑応答では、参加者の方々から、「人形作家としての井桁氏が感じられた『美しさ』は何を意味するものなのか」、「森田氏と人形との共演はどのように感じられたのか」といった質問があり、全ての質問を取り上げられないほど活発なやりとりがなされました。最後に、領域代表の山口真美先生(中央大学)にご挨拶をいただいて、本ワークショップを締めくくりました。
【共催】基幹研究人類学「アジア・アフリカにおけるハザードに対する『在来知』の可能性の探究—人類学におけるミクロ-マクロ系の連関2」,科研費新学術領域(研究領域提案型)「顔と身体表現の文化フィールドワーク研究」(研究代表者:床呂郁哉(AA研所員)課題番号:17H06341)
(by M. Tanaka, Higashi-nippon International University)