5回『フェミニスト現象学入門』オンライン読書会

  • 日時:8月12日(木)14:30–16:00

  • 会場:zoomによるオンライン開催

  • 参加者:約70名


  • 講演者(五十音順):

 池田喬(現象学)

 宮原優(フェミニスト現象学)

 早川正佑(臨床死生学)

  • オーガナイザー:小手川正二郎、中澤瞳


哲学班を運営の中心とするイベント「『フェミニスト現象学入門』オンライン読書会」の第5回が開催され、約70人が参加しました。会は、まず池田氏が自らの執筆した講読対象について概要を説明し、次に宮原氏と早川氏からの質問と池田氏の応答、最後に参加者からの質問、という順番で進みました。


まず、『フェミニスト現象学入門』の第7章「一人暮らししなければ一人前じゃないのか?」の著者である池田氏が、ご自身の研究歴と執筆の背景、および同章の内容について説明されました。


第3回読書会の登壇者でもあり、他の回でもオーガナイザーを務めた宮原氏からは、同章の主題となっている、ケアとロゴスの関係について、また母親が自分1人の部屋を持たないことが多いという問題に関して、家事を担う際に部屋に閉じ込もっていると家のことを気にかけることができなくなるという問題、さらに、家がケアの場所である一方で、虐待等を産む危険な密閉性を作り出しかねないという指摘などがなされました。


また早川氏からは、生活がそこから始まりそこへ帰っていくベースとしての家という池田氏の考えに関連して、人間の生活に周期的な時間性があることや、自分の部屋にこもる等の仕方で他人と空間的に断絶することによって、目的を指向した未来指向の時間性ではない、現在指向の時間性を有するという時間的断絶を獲得することもできるという議論がありました。


質疑の時間には、ケアの倫理における聴覚の役割、不登校ひきこもりの人間をどうケアするべきか、時間的断絶と空間的断絶の必要性等、多岐にわたる質問が取り上げられ、活発な議論が行われました。


文字起こし原稿は以下よりご覧いただけます。https://drive.google.com/file/d/1pyJD3TghZWaqMtjBSpeTrH-rhTsW76XT/view?usp=sharing


(by T. Yamashita, Keio University)