2022年10月30日に顔身体学領域主催の国際シンポジウム『Face-Body Studies Wrap-up Symposium Day 1』が対面で開催されました。
日時:2022年10月30日
会場:東京大学駒場キャンパス18号館ホール(東京都目黒区)
参加者:45人
発表者(発表順・敬称略):
Harold Hill(ウーロンゴン大学)
Colin Clifford(ニューサウスウェールズ大学)
Olivier Pascalis(グルノーブル・アルプ大学)
シンポジウムの開会にあたり、まず山口真美先生(中央大学)から、コロナ渦後に初めて対面でシンポジウムを開催できることへの感謝とご挨拶がありました。その後、渡邊克巳先生(早稲田大学)から、開催趣旨のご説明がありました。
最初の登壇者である Harold Hill 先生(ウーロンゴン大学)のご講演「Three-dimensional face shape: does it matter?」では、3次元の顔の表面から人物や表情を推定する際に利用されている情報について話題が提供されました。3次元の顔の知覚においては、環境の照明に関する暗黙的知識や、顔の形や表面に関する情報が利用されており、照明、視点、顔の表面のテクスチュアなどの条件が、結果に劇的な影響を与えることが報告されました。
Colin Clifford 先生(ニュー・サウス・ウェールズ大学)のご講演「Facial Age Perception: effects of context, colour and uncertainty」では、顔画像から年齢を推定する際の文脈効果について話題が提供されました。ターゲットの顔画像を、異なる年齢の顔画像で囲んだ場合、ターゲットから知覚される年齢にバイアスがかかり、若い顔に囲まれた場合にはより若く、年配の顔に囲まれた場合にはより高齢に知覚されること、また顔色などの条件がバイアスに体系的な影響を与えていることが報告されました。
Olivier Pascalis 先生(グルノーブル・アルプ大学)のご講演「Preference for attractive stimuli: are there common mechanisms in human and macaque」では、霊長類に共通する魅力的な顔の条件について、興味深い話題提供がなされました。ヒトの成人と幼児が、より平均的な顔をより長く注視することはすでに知られていましたが、発表者らは平均顔を選好する現象がマカクザルにも確認できること、またこの現象が、霊長類で共通して顔認識に用いられている処理メカニズムに起因する可能性が報告されました。
海外からの3名のご講演の後、全体討論と質疑応答が行われました。
休憩後のフラッシュトークでは、全国から参加した10名の若手研究者が、最新の研究結果についてプレゼンテーションを行いました。マスクの着用が表情や年齢の推定に与える体系的な影響などについて、活発な議論が交わされました。
(by H. Nozawa, The University of Tokyo)