心理学研究作法勉強会@Zoom

「心理学から見る顔身体学/顔身体学から見る心理学」

2020年5月9日、Zoomを利用して、心理学研究作法勉強会を開催しました。

▪日時:5月9日(土)14:00 - 18:30

▪会場:ZOOM Meeting

▪参加者:57名(内外国人参加者2名)

前回の河野哲也先生(C01−P01計画班長)のZoomでの哲学研究作法オンラインレクチャーに続いて、今回は心理学の研究作法について、高橋康介先生(A01-P02計画班長)に「心理学から見る顔身体学/顔身体学から見る心理学」と題したレクチャーをしていただきました。

本レクチャーでは、過去の領域会議や、他分野との共同研究を進めていくうえで問題となってきた、言葉の概念や定義の違いに着目し、心理学(認知主義心理学)における研究方法や考え方を通して、学問的な位置づけをわかりやすくご説明いただきました。特に文化人類学と心理学における「文化」や「人種」の概念に対する捉え方の違いや、研究対象である「母集団とサンプル」の選定方法における心理学独自の研究アプローチに対し、活発な議論や意見交換が行われました。

今回は心理学研究者の方々を中心に領域関係者57名が参加され、高橋先生のレクチャーと参加者からの質問や議論を通じて、「他分野の方法論や前提の差異を理解しながら、顔・身体学領域内の相互理解や発展を促す」という本勉強会の目的が達成されたのではないかと思います。同時に、参加者の意見交換の場では、人の見た目と差別の関係といった、心理学の手法を通してこそ理解できる事象があり、心理学の独自性という側面が再認識された一方で、心理学者が研究を進めていく上で直面する、部族の流動性からくる民族集団の定義の難しさなど、他分野の研究者との連携の可能性やその重要性も共有できたと思います。

今後も心理学研究への理解をより深めるために、心理学実験を実際に体験できる「実験デモンストレーションの会」の開催も予定されているとのことですので、より多くの学問分野の境目を越えたトランスカルチャーな学術交流イベントが企画されることを期待します。

(By M. Goto, Tokyo University of Foreign Studies)