本書は1966年の著作です。当然パソコンのようなものは世の中にありません。IBMの有名なSystem/360の発売が1964年ですから、まだコンピュータの一般ユーザーも少ない中、コンピュータの出現によって人々の仕事がどう変わっていくのかを予測しています。
さて、今の私たちはそれから50年を経過して、どうなっているでしょう。
確かに、コンピュータを使うためにどんなシステムにするか、どんな環境で使わせるかといった条件をあらかじめ決めた上で構築するという、上記のように「あらかじめ明快な分析を必要とする」という通りになっています。
そしてその決定は、トップマネジメントがこうあるべきと意思決定をしたものを実現するのではなく、現場の担当者が集まって要件定義を行いシステム構築をするという、まさに「組織の末端までの人間が成果をあげる決定を行う」という状態になっています。
多分「情報システム」などという言葉がなかった時代に、これを予測していたとはドラッカーの洞察力には驚嘆させられます。
2013/6/12
update:2015/12/30