ベル電話会社は、現在はAT&Tというアメリカ最大の通信会社です。日本で言えばNTTに似ていますが、日本では元々電電公社という国有企業でしたから、当初から民間企業だったAT&Tとは成り立ちが違います。
ヴェイルは、事業を独占する民間企業にありがちな国有化の圧力を回避しながら、公益のために民間企業を維持するための様々な意思決定を行ったという例が紹介されています。
それぞれの意思決定は企業トップの意思決定であり、私たちの仕事からは少し離れている感じがしますが、学ぶべき点は、それまでの常識を覆す意思決定を行っていたことではないでしょうか。
民間企業は商品を売り利益をあげることが第一であるという常識に対し、公共のサービスを行うことが自分たちの使命だと考えた決定
政府の規制に対して異議を言うのが企業の姿勢と言う常識に対し、自らを存続させるために政府に規制を作らせるという決定
独占体であれば安泰な事業ができるという常識に対し、自らを陳腐化させることにより独占体でありながら革新していくという決定
本当に価値のあるものは何かということを考え抜いた末に決定を行い、それにより社会貢献と会社の成長を両立させたというところを、ドラッカーは賞賛しているのだと思います。
2013/5/29
renew:2015/11/11