二つ目の事例は、2009年に破綻したGMの連邦分権組織を作ったスローンの意思決定です。1950年代にはすでにアメリカ最大の自動車メーカーでした。しかしその創成期には、たくさんの自動車メーカーを吸収合併してできたGMをどのようにマネジメントするかという問題があり、スローンが連邦分権組織という回答を導きだしました。
連邦分権組織は、組織全体の方向性と戦略、目標に関する意思決定を行うトップマネジメントと、自立した複数の事業部門という組織構造です。
スローンの意思決定も、やはりそれまでの常識に逆らうものでした。
合併前の社長がそれぞれの事業部をめいめい勝手にマネジメントしている状態への対処の仕方としては、一つは事業部長の解雇であり、もう一つは彼らにそのまま指揮を執らせ続けるという二つが常識だったようです。後者を選択するということは「調整された無政府状態」といえるとしています。
しかし、スローンはそのどちらも選ばず、トップマネジメントの統制のもと同じ価値観を持った複数の事業部がそれぞれの分野で成果を出し続けるという組織構造を生み出したということなのです。
やはり、問題の本質をとらえ、どうあるべきかを考え抜いて意思決定をしたことが、成長を促した一つの要因だったのでしょう。
2013/5/30
renew:2015/11/11