無意味な同窓会会報電子版

(熊薬同窓会,会報バックナンバー,PDFファイル)

投稿論文等の資料は活字が小さく読み難いので,PDF (Portable Document Format) ファイルが入手可能な場合は,パソコンで拡大して読むことにしている.同窓会の会報等も例外ではない.同窓会の最新号を読むために,久しぶりに熊薬ホームページにアクセスしてみた.

同窓会会報の一覧から最新号(平成28年6月,12月号は未掲載)を選び,PDFファイルを開いてみて驚いた.読むことができるのはトップページだけで,2ページ以降は存在しなかった.よく見ると,メニューの上部に「トップページのみ」と書いてあった.

平成12年34号から平成16年までのファイル(64号は欠号)から20ファイルをランダムにダウンロードしてみたが,ファイルのサイズは50〜1000KBの範囲内にあり,大きいものでデジタルカメラの画像1枚分程度である.ところが,55号だけは12MBを超えるファイルである.また,古い会報の中には最初と最後の2ページ(版下を使用)をPDFにしているものや画像ファイルをPDF形式にしているものも存在する.

同窓会会報へのリンク

「トップページだけ掲載」に変更した理由を考えてみたが,どうしても思いつかない.「一般には公開できない内容が含まれているため」あるいは「本来学外に置くべき同窓会サーバを学内の教育研究用LANの下で運用しているため(ネットワークの負担軽減)」と穿った見方をする人が居るかもしれないが,単に科学技術の進歩に即応したIT知識の欠如と学外の立場からの配慮に欠けているためだろうという結論に到達した.

PDFファイルはファイルサイズが大きく,PDFを見るための専用ソフトを必要とするため,家庭用PCには負担が大きいという一昔前の先入観によるものである可能性が高い.画像の埋め込みや最適化の不備により巨大なPDFファイルが生成することがある.トップページだけで10MBを超えるファイルが存在していることもあり,全ページ公開は無理と考えたのだろうか.しかし,最近は投稿論文もPDFファイルをインターネット経由で送付する時代,同窓会担当教員がPDFファイルのリサイズ等について知らないはずはない.

私が在職していた頃は,情報処理教育担当教員が中心になりホームページを手作りし,同窓会会報もPDFファイルで全文を読めるようにしていた.そのために専用のサーバー (Power Mac G5) を同窓会の予算で購入してもらったことを記憶している.当時は,大学並みの高速ケーブルが敷設されている家庭は少なかった.それでも時間をかけてダウンロードすれば,OSに関係なく,Adobe Acrobat Reader や Preview (Mac) 等の専用ソフトで PDF ファイルを自宅で読むことができた.

現在,ホームページの管理は業者に委託していると聞いている.ここ10年の間,インターネット回線は大幅に高速化し,大きな動画ファイルもダウンロードしながら閲覧することが可能になった.私の場合,ケーブルテレビ・インターネット回線に家庭内無線LAN経由で接続したタブレット端末 (Nexus 7, 2012) を用いて,何の苦もなく高校同窓会会報の全ページ(PDFファイル,20数ページ)を閲覧することができる.よく利用する国立国会図書館デジタルコレクションも,PDFファイルで構成されている.上述したように,ページ数の多いPDFファイルは,民生用情報機器では処理負担が大きいという時代があったが,すでに過去のこととなった.ドッグイヤーに例えられるCPUの高速化,HDD,通信量の大容量化が,人々が情報に接する時に使うメディア媒体を劇的に変化させたのは言うまでもない.

Web管理者は,高齢者で電子版を見る人は居ないと思っているかもしれないが,それは大きな誤りである.パソコンで拡大表示すれば,老眼鏡の必要がなく,たいへん楽に読むことができることを経験しているのは私だけであろうか.

同窓会会報のバックナンバーをPDFファイルで提供している学校は数多く存在する.例として,熊本県立濟々黌高等学校同窓会会報の電子版(上図右側)および大阪薬科大学同窓会(第90号)にリンクを張っておくので,参考にしてもらいたい.前者は見開き 25 ページの内容をPDF13ページにまとめ,7.5MBで提供している.後者は,29頁を9.7MBにまとめている.スマホやタブレット端末は,2本指で拡大縮小するピンチ操作が可能なため,マウス操作によるPDFファイル閲覧より快適である.

ホームページの記事は時と共に変化するものであるが,PDF化された記事はデーターベースとして蓄積されていくものである.同窓会が高年齢層依存気味であるのを修正して,若い人達にも関心を持ってもらうためにも,電子版全ページの閲覧が望まれる.その際,スマホ版を別途作成する必要はない.

追記

1.1頁10MBを超えるPDFファイル(画像埋め込みに問題がある)の場合,PNG画像(劣化のない)ファイルにすれば1/20程度になる.印刷操作で B5 版程度にPDF書き出ししても同様の結果が得られる.

2.1頁だけで10GB となると,一昔前のCPUは少し負担が大きいが,最近主流の core i3 以上ならば問題ない.

例 Core duo 1.GHz, Athlon II X2 250u, 1.6GHz等

3.最近のPDF閲覧ソフトはメモや赤線を引くなどの書込みができるのも魅力である.

4.PDF化により紙資源,郵送料の節約にもなるはずである.

5.同窓会の会費が50%値上げされたのを機に,この程度のサービスは当然との意見を頂いた.

関連事項

クラス会ホームページの行方(昭和38年卒同期会ホームページをGoogleサイトに制作した経緯)