P-F 16

紫苑と凪佐はDNA鑑定の結果を凝視していた


「あー・・・やっぱりといえばやっぱり・・・父子関係と兄弟関係は認められちゃったなぁ・・・」


「しかも松原香澄の毒は松葉凪斗より人を選ばないもので、天使族にまで影響を及ぼすリスクがあるのか・・・」


「なんかショックだ・・・」


「まぁ、そんなショックな事実もあるけど良いニュースもあったじゃん」


「え?」


紫苑が書類を指差し言う


「あんたから松葉凪斗の毒素の抗体が見つかったって!もう少し研究続けたら解毒剤が出来るかもしれないって」


「へぇ・・・」


「解毒剤が完成したらボクも健康体になれるかも・・・そうしたら薬も点滴も入院もおさらばだー!」


「あぁ、それでうれしそうなのか」


「それだけじゃない、万が一松葉凪斗が殺されてしまってもみんな救われる、天使王の計画は失敗に終わるんだ!」


「・・・そっか、ブリヘブの目指す世界に近づけるのか」


「多分ね、って言うわけで血液サンプルが欲しいみたいなんだけど」


「あ、うん、分かった」


「あ、あとそれと松葉凪斗脱走からそれなりに時間も経ったからゴールデンウィークぐらいに一回皇霧斗を松葉凪斗のところに行かせようと思うんだけど」


「あー・・・そうだね、俺が行くとまた喧嘩になりそうだし」


「それで、天使たちの動きは?」


「相変わらずだよ、めがね割られそうで怖いから授業中以外かけられないし、まぁ良く飽きもしないでいじめてくるよね」


「もう相手も理由なんてないんだろうな、ただ、そういう対象がいるからやってる、それだけなんだろ」


「ちなみにお前のアドバイスで全部の会話録音してされたこともメモ取ってる、まぁ・・・もう慣れてきたけどな」


「慣れるなよそんなもんに」


紫苑があきれたように言う
凪佐が言う


「まぁ、だって死神王のご子息様が後ろにいる中でブリヘブの目指す世界を作ることに加担できるなんて、光栄じゃないか」


「あぁ・・・あんた案外善人なんだね・・・」


「さすがにお前らと関ってみて天使族が優れた種族だーなんて考えは無くなるよ、特にお前の過去と体の事情を知った以上な」


「いや、あれはボクが無謀だっただけで反面教師にして欲しいぐらいなんだけど・・・あ、そうだ」


紫苑が上着の内ポケットに手を入れる


「じゃーん、明日のブリヘブのライブ最前席チケット2枚分」


「えぇ!!!それって今本当に手に入らないやつじゃん!!」


「ファンクラブ会員ナンバー1なめんなよ、って言うわけで一緒に行こうよ、息抜きにさ」


「はいぃー!!もちろんです紫苑様!!!」


「はっはっは、苦しゅうない」


紫苑が悪ふざけをしながら返事をする


「て言うわけで研究所行こうか」


「はーい」


2人は研究所に向かった、凪佐は献血できるぎりぎりの量まで血を抜かれた
その翌日、2人はライブで盛り上がりテンションは最高潮に達していた


『おはようございます!バニーJです!!』


『こんにちは、キャットCだよ』


『こんばんは、シープKよ』


『今日はみんなにお知らせがありまーす!!』


『なんとなんと、俺達「BridgeHeavenry」、今年の7月16日にブルーム館ライブをします!』


『これもみんなのおかげだよ~!チケットは、ファンクラブ会員を優先的に先行販売と一般販売をするから、よろしくね』


最高潮のテンションはさらに盛り上がり、2人も喉から血が出るほど叫び、楽しんだ


「あー・・・もう声も出ない・・・」


「でも良い知らせが聞けてよかったよ」


「しかも俺の誕生日前日!!チケット取れるといいけどなぁ・・・」


「じゃあ一緒に取っておくよ、取れればだけど・・・」


「俺も頑張って抽選参加する!!」


2人はうれしそうに話した


「・・・そっか、7月17日誕生日なんだね」


「そう、凪斗も一緒だよ」


「・・・タイムリミットを視野に入れるほど近くなってきたのか・・・」


「え?あ・・・そっか・・・」


「ま、その時はその時だよ、チケット取れたら行く、行けなくても譲渡は出来るしそもそも取れる保障も無いじゃん、まぁボクはプロジェクト崩壊のほうを優先させるけど」


「じゃあ、俺も」


「・・・ボク達、もっと早く出会えてればよかったかもね」


「まぁ、出会う時期は運命次第だし、仕方ないだろ」


「そうだね」