P-F 13
髪をショートカットにした凪佐が登校する
出来るだけ教科書や自分の持ち物はビニール袋に入れて持ち歩き、何をされても出来るだけ相手にしないように
昼休み廊下を歩いていると急いだ様子の少女とぶつかる
「痛っ!!」
「わぁっ!!ごめん大丈夫?」
「大丈夫なわけじゃないでしょ!!あぁ~どうしよう、小テストの時間に間に合わない・・・」
「一緒に行って説明するよ、それで多分許してもらえるから」
「・・・分かった」
顔を上げる少女を見て凪佐は驚く
「え?えっと・・・君、名前は?」
「ボク?ボクは松原香澄だよってなんで・・・あぁ・・・確かに顔そっくりだね、でもたどれば先祖が同じぐらいじゃない?ボク家族いないし」
「そうなんだ・・・じゃあ行こうか」
「そうだね」
凪佐が香澄が立ち上がった姿を見ると羽をまじまじと見つめる
「何?人のことじろじろ見て・・・」
「いや、羽の色が左右で違うから染めてるの天使族にしては珍しいなって」
「なっっ!!!」
香澄が凪佐を突き飛ばす
「嫌な事言わないで!!!」
香澄がそういうと走って姿を消した
その導入に落ちる一枚の羽
「え?言っちゃだめなことだったの?」
凪佐は羽を拾うとぽかんとしたままその場を後にした
学校が終わり待ち合わせ場所で紫苑に会うと、紫苑にその話を全て話す
その話を聞き終わるとシオンが頭を抱える
「あのさ・・・松葉凪佐ってお父さんいる?」
「いないねぇ」
「お母さんと顔似てる?」
「あー・・・顔は似てるけど髪色とか目の色は違うかな?母さんどっちかというと暖色系だし」
「・・・ねぇ、勝手な予想でしかないんだけど・・・突拍子も無い結論ぶち込んでいい?」
「どうぞ」
「多分・・・その子異母兄弟」
「・・・は?」
「データは持ち出せないから見せられないけど、「絶対天使プロジェクト」を摘発したときに逮捕した偉い研究員の一人が青髪に青目なんだ、ちょうどあんたぐらいの・・・」
「うん」
「それで、「絶対天使プロジェクト」で生まれた毒を持った子供、通称「ベノムキッズ」は受精卵の段階で毒を盛られてて体外受精で作られる場合があってね、それで未婚の女性も大金目当てでプロジェクトに参加してることが多くて、その場合父親が研究員ってパターンが多いんだよ」
「衝撃的過ぎてもう何でも受け入れられそう・・・」
「・・・DNA検査する?その人刑務所にいるから・・・」
「あ、それならそれでこれその子の羽なんだけど、俺のDNAと一緒にこの羽でその子のDNA検査もしてもらっていいかな?」
「それはこっちとしても願ったり叶ったりだけど・・・その子には申し訳ないね」
「ま、これも世界を救うためよ」
「・・・よし、この羽の褒美にめがね買ってあげる」
「え?」
「目、悪いんでしょ?ボクを見るときとか遠くを見るときすごい目つき悪くなってるよ」
「や・・・でもお金ないからバイトしてるんじゃ」
「いや、社会勉強のためだから、むしろ体弱いせいでカラオケとかスポーツ系の施設はすぐ体力尽きてダウン、死神族は死神族の経営する病院であれば成人まで医療費無料だし、テレビゲームや本も体力ないから長時間は集中が続かない、食に関してもそもそも小食、アイドルだってライブは体調悪いといけたりいけなかったりでなかなか難しい、となるともう服以外お金使う場面無いからね」
「え?じゃあそのコートって実は相当高価なものだったり?」
「あー・・・これね・・・給料3か月分くらいしたかなぁ?でもサスペンダーに吊るすために穴あけちゃったから元々そんなに価値は無いよ、それよりあんたのめがねだよ」
「あ・・・はい」
凪佐は考えることをやめた
眼鏡屋にたどり着くと紫苑が好きなものを選ぶように言うが、凪佐はシンプルなアンダーリムのメガネを選ぶ
視力検査中に紫苑はどこかに電話をかけ、全て終えると引き取り日を指定されお金を払った
「ありがとう」
「いや、むしろこっちこそありがとう、DNA採取してくれるって、何なら今からでもOK」
「あ、じゃあ行く」
その足で2人は研究所に向かいDNAの採取を終わらせた
「でも俺のDNAでなんか分かるの?」
「あー・・・一応あんた達一卵性双生児でしょ?松葉凪斗のこともなんかわかんないかなー?って思って」
「あぁ!遺伝子だけなら一緒だもんね」
「あと、あれだけ執着される毒素を持つ兄弟と一緒にいてなんであんたは死んでないのかちょっと疑問」
「それは俺も思う、もっと詳しく検査出来ない?」
「問い合わせてみる・・・」
紫苑が電話をかけると二つ返事でOKが出たようで
「一泊二日の入院できるならすぐにでも、だって」
「OK、じゃあ次の土日は大丈夫?」
「来てくれるなら無理やりでも開けるって、じゃあそうやって連絡しておくね」
「よろしく」
紫苑がメールを入れ、二人はその場を後にした