P-F 11
「あのね、私、アイドルになりたいの、差別はだめだよ!って歌って踊るの!そうしたらお父さんとお母さんと一緒に暮らせるでしょ?」
「そうだね、純・・・じゃあもう少し大きくなったらなってみようか!」
「うん!!」
優しい朝日の中で純が目を覚ます
「・・・懐かしい夢だったな・・・」
純が身支度を整える
「あ、純、今日も仕事?差し入れもって行かなくて大丈夫?」
「あー、今日は打ち合わせだけだからいいや、いってきまーす」
「気をつけてねー」
純が学校へと向かう
その道中で千鳥と出会う
「あ、おーい!千鳥!!」
「あ、純ちゃん・・・おはよう」
「おはよう、千鳥は元気?今日の打ち合わせ遅刻しないでよ」
「分かってるって、心配なのは俺よりむしろ輝夜ちゃんのほうだよね・・・もう遅刻常習過ぎて・・・」
「へっへーん、だから実は遅刻する時間を平均して5分前には到着するような期間教えておいた!」
「わぁっ・・・!流石純ちゃん」
「BridgeHeavenry」はハーフ3人組の創造世界で最も人気のあるアイドルグループであり、創造世界の強烈な差別をなくすために結成されたという重い事情も抱えている
というのも、この世界では人種差別が強烈であり、基本的にどこに住むことも可能だがある程度種族の割合が確立されているため少数種族は道を歩くだけで変な目で見られるほどだ
その影響は種族が違えばたとえ愛し合っていても席を入れることすら出来ない次元にまで及び、ハーフは堂々とすごすことが出来ず、種族を隠す必要がある
「BridgeHeavenry」は全員ハーフであるため窮屈な過去を過ごしていることもあってか、差別をなくすために全力を尽くすことを誓っている
3人ともハーフであるためそれぞれの種族が平均的に混ざり合っている地域に引越した影響であまり変な目で見られないが、その結果3人は同じ地域に住むことになってしまっている
そのためプライベートも少し共有しがちなのが現状だ
「じゃあ、学校終わったらまた会おうね」
「うん、よろしくー・・・あ、打ち合わせ速く終わったらダンスの練習に付き合ってくれない?どうしても納得できない振り付けがあって」
「OK-!輝夜にも行っておくね」
「よろしく」
そう言うと2人は学校へ向かう
何事もなく学校生活を終えるとマネージャーの迎えの車で3人は打ち合わせに向かう
ダンスの練習を了承した輝夜は予想以上に早く打ち合わせが終わったのもありダンス練習に参加した
「~~~~♪・・・どうかな?」
「んー・・・まだタイミングが合ってない気がする」
「あぁもうやってられない!!」
輝夜が声を上げる
「どうしたの輝夜」
「タイミング合わなくてごめんね・・・」
「違うわよ!!あたしはこんな暗くて重い曲で差別をなくすことを訴えるのはもういやなの!!」
「また始まった、それで?」
「もっとキラキラして、みんなキラキラ輝ける!みたいな明るい歌詞とか、私達がお姫様みたいなちょっとSっ気のある曲がやりたいの!!」
「じゃあ抜けて一人で行動すれば良いじゃん、ブリヘブだって元々はボクと千鳥でやる予定だったんだし、お前を拾ってあげたのはボク等でしょ?」
「何よこのブス!!!」
「自分がブスなことぐらい知ってるから、差別がなくなったらそういう方針にしていけば良いじゃん」
「無くなるわけないじゃん差別なんて!!!」
純が口を開く
「・・・はっきり言うね、ボク達は「差別を無くす」って名目で活動することを条件に多額の投資をしてくれてる人がいるの、それで、プロの癖にその人の期待を裏切りたいの?それにその人の投資がなくなったら今の活動の半分も出来なくなるんだよ?分かってる?」
「それはそうだけど・・・」
「・・・よし!練習はここまで!!みんな給料入ったばっかりだよね?いつものバイキング行こうよ」
「賛成!全メニュー制覇するぞー!!」
「そうね、サラダバーとスーパーフードで美を保たなくっちゃ」
「ごめんね千鳥、いつも損な役割させて」
「良いよ、俺だってハーフであることをへーそうなんだって流してくれる世界がほしいもん、そんな世界で昔みたいにモデル活動したい・・・」
「よし!千鳥のためにもがんばろう!!」
「あたしも、ソロデビューのためにがんばる!!」
「そういえば純ちゃんは差別がなくなったら何がしたいの?」
「・・・な~んもしたくない!!アイドル活動だってそういう立場でインフルエンサーになればスポンサーの力も借りて活動を広げられると思ってやってるんだもん!乙葉純、普通の女の子に戻りますって引退して平凡な人生送りたい!!」
「君らしいや、あ、今から行けばバイキング入れるって」
「よし!行こう行こう!!」
そのタイミングで純のスマホに入るメール
「・・・?「この世界に危機が訪れたとき、暴動が起きようとも正しい選択をしてほしい」・・・?」
「純ちゃん?行くよー」
「あ!今行くー!!」
純がスマホのメッセージをさりげなく「重要なメッセージ」フォルダに保存するとその場を後にした
「あ、マネージャーからメール・・・・おぉ!!今度のイベントもチケット完売だって!この売り上げ次第ではブルーム館で単独ライブできるかもって!!」
「ブルーム館!!すごいじゃない!!そこでライブが出来ればもう頂点は確実ね!!」
「成功すれば、だけどね、お客さん来てくれるように次のライブがんばらなきゃ!!」
「「おー!!」」
3人は一致団結し、バイキングで食事を取り帰宅した