P-F 07

紫苑が父の寝静まった後、管理室の鍵を盗んだ紫苑はゲートを開ける鍵を指定の位置から抜く

「・・・うまく出来ますように・・・」

そう祈るとポケットに鍵を入れその場を後にした
いつも履いているホバーシューズのおかげで足音は立てなかった

「それで紫苑、検査入院どうだった?」

「運動はしちゃだめ、動物に触れない、血が出る怪我をしたらすぐ病院へ、いつも通りだね、走って逃げられないからなんかあれば見捨てるか誰かお米様抱っこでもして運んで」

「了解、柳先輩、プログラムは?」

「大丈夫、完成させてここに入ってる」

「白夜先輩」

「近くのファミレスにいる、騒動落ち着いたら待ち合わせしてました感出しながら入ってきて」

「じゃあ、準備はいい?」

「うん」「えぇ」

「じゃあやるよ、窓のセンサーはハッキングして解除して、このあたり一帯に妨害電波を流してペンダントの発信機を無効にすると同時にゲートを開く、そのあたりの調節はボクがやるから白亜伊吹はゲートが閉じきるまで近づく人をぶっ倒して、一度あけたらしばらく閉じられないからね」

「分かった」

「で、皇霧斗がこの服を松葉凪斗に着せて門まできたらこのスタンガンで首輪を壊して、失敗したら爆発するけど天使族の治癒力をもってすれば大丈夫だから」

「分かった」

「タイムリミットは15分、それ以上妨害電波を流すのは無理だし、もし追っ手にゲートをくぐられようものなら意味がない」

「了解!」

「しかしすごいな柳先輩・・・妨害電波を流すマシン作れるなんて・・・しかもボクのスタンガンで首輪が壊せるように改造まで・・・」

「でも良かったの?スタンガン武器なんでしょ?」

「うん、前からして欲しかった改造もやってもらうことになったからね、人助けをする以上仕方がないよ」

「後もうひとつ質問、紫苑くん、君は何者なの・・・?」

紫苑が人差し指を立て唇に当て言う

「秘密、それがばれたら対等じゃいられなくなるかもしれないし」

紫苑がそういうとマシンの操作を始めた、妨害電波が出たことを確認すると自身の身分証を空間に差し込むような動きをした後、思い切り下に振り落とす

「っは・・・はぁ・・・」

「すごい・・・本当にゲートだ・・・」

「・・・急いで、あとはもうゲート閉じる一方だから」

「あ、うん、分かった」

紫苑のホバーシューズをはいた霧斗が病院まで走り壁までたどり着くと飛び上がり、凪斗の病室の窓をノックする
それに反応した凪斗が驚いたように窓を開ける、中に入る霧斗が紙袋を差し出し言う

「脱出したいんでしょ?じゃあまず着替えて」

「え?え?」

「着替えた?じゃあ病院の門まで行くよ」

「うん・・・」

凪斗をおんぶした状態で窓から地面に降りるとすぐに走り出す
凪斗は赤い猫耳と尻尾のついたパーカーとデニムのズボンに着替えた状態だ
顔が見えないレベルまで深くフードをかぶった状態で病院の裏門にたどり着くと霧斗が銃のような物を取り出す

「えっと・・・これを首輪に差し込んで・・・引き金を引く・・・と」

バチンッ!という大きな音を立て首輪が外れる
と同時に病院の内部があわてだす

「それは?」

「後輩から借りたスタンガンガン、失敗したら爆発しそうだけど、電力を調節したら首輪を壊せるんじゃないかって」

「今すごい怖いこと言わなかった?」

「あとそれからその身分証をこんな感じで2回たたいて」

「え?こう?・・・って羽が!?」

「これで地上に行っても羽を見せず姿を現せる・・・さぁ行って」

「待って!地上って何?この世界のことも知らないのにどうやって」

「とにかく、あのゲートをくぐって逃げて、ボクも逃げる」

「まって、一緒に来て」

「ごめん今は無理なんだ・・・でも大丈夫、後で必ず迎えに行くから」

「うん・・・」

凪斗が不安そうにゲートに飛び込むとすぐに追っ手が現れた
イブがそれを次から次へとなぎ倒していく

「紫苑くん、ゲートが閉じるまで後何分?」

「もう5分切ったぐらい、加勢しようか?」

「ううん、平気、その5分暇だなって思って」

「は?」

紫苑がイブのいるほうを向きため息をつくように苦笑いをする

「あんた・・・どんだけ強いの・・・」

「伊達に悪霊ボコるバイトはしてないよっ!」

失神した追っ手を前にしたイブが楽しそうに告げた

「紫苑、イブ、大丈夫?」

「こっちは大丈夫、ゲートももう閉じるし、あとは特殊警察にこの件報告して圧力かけてもみ消すよ」

「紫苑くん本当なんでそんなことできるの?」

「あぁ、知り合いが特殊警察だからね、こういう実態の知れない不可解な事件は担当してくれるんだよ」

「でもこの後どうするの?」

「あぁ、地上で生きることを選択した知り合いがいるから、その人の家の近くに転送しておいた、その人にも事情話してあるしとりあえず投げておく」

「でも」

「ボクらが今動くのは危ないからね、しばらくは普通の生活をしてマークを外さなきゃ、松葉凪斗と接点があったってだけでしばらくは危ないだろうし」

「うん・・・分かった」

「だから、地上への許可証も個人手取得するのはしばらく控えて欲しい」

「そうだね、行き先がばれて凪斗がまたさらわれたりしたら意味がないし」

「それじゃあ、白夜先輩のところに行こうか」

「「うん」」

「あ、あと皇霧斗、ホバーシューズ返して、それ無いと走れない」

「あ、はい・・・」

ファミレスにたどり着き席に着くと紫苑が意識を失うように眠る

「え?紫苑?紫苑大丈夫?」

「ゲート開けた瞬間すごいしんどそうだったからね、疲れたんでしょ」

「はー、寝顔は子供だなぁ・・・」

しばらく時間をつぶし、紫苑が起きたころ全員は白夜の運転で自宅へと帰宅した
紫苑が鍵をもとあった場所に返却するとため息をつきその場に倒れた