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「はぁ・・・はぁ・・・」


「大丈夫?少し休む?」


「ううん、まだ頑張る」


クロが荒い息を吐きながら言う


「にしても、無茶しやがったなーあいつ・・・」


「あの・・・コハネさん」


「ん?なに?」


「私に・・・私にシュンヤ止められるかな?」


「え?」


「だって、この世界に来てからも来る前も私は何も救えなかったし止められなかった

むしろ私がいることで事態が悪化してどうすることもできないことが大半で・・・

そんな私がシュンヤを止められるのかなって」


「・・・クロちゃん」


コハネがクロの前に立ちいう


「一人で抱え込まないで、私もいるよ、それに私はシュンヤと幼馴染、あいつの求めてるものぐらい分かってるから

初対面で頼れって方が無理なことは分かってるけど、私の事頼ってくれないかな?」


「でも・・・」


「んー・・・じゃあこういわせて、私を信じて」


「・・・分かった」


クロが足を進めるとコハネに問いかける


「あの・・・シュンヤは何を求めてるんですか?」


「・・・そうだね、多分あいつ、止めてほしいんだと思うよ、この事態を」


「え?」


「自分たちが生き残るために自分を止めに来る・・・それじゃあシュンヤはきっと世界崩壊を止めない

でも、シュンヤにこんなことしてほしくないって理由で止めに来たのならきっとシュンヤはやめてくれる

きっとあいつは・・・心を許せる相手を探してるんだ」


「・・・心を許せる相手・・・か・・・」


クロが少し考える


「私になれるかな?」


「クロちゃん、クロちゃんは今までシュンヤの事ちゃんと見てきてくれたんだよね?」


「でも私、シュンヤの事何も知らない」


「あぁもうじれったい!!!さっきから聞いてたらネガティブな事ばっかり!!

私だって不安だよ!!幼馴染でずっと一緒にいたのにあんなに恨み貯めてたなんて気づいてあげられなかったし

この世界に閉じこもっていろんな人たち巻き込んでまで家族の痕跡折って他の何て知らなかったし!!!

悔しいし、怖いよ、でもここで逃げたって結果が変わるわけじゃない!!だから私は進んでるの」


「・・・」


「・・・ごめん、ちょっと熱くなった」


「ううん・・・むしろありがとう、本気でぶつかってくれて、おかげで私も腹くくれた」


「・・・じゃあいそごっか」


「うん!」


2人は走り出した

シュンヤがいる灯台まで2人がたどりつき、中に入るとそこはどこまで続くのか分からない螺旋階段で構成された場所だった


「コハネさん羽が!」


「え?あ・・・本当だ、ここからは自力で上がって来いって事だね」


塔の中に入った瞬間、羽の消えたコハネが冷静に言う

2人は永遠とも思われる長い階段を上り続けた

息は切れ、足はふらつき、心臓は飛び出しそうなほど脈打ち眩暈がする

それでもシュンヤを止めたい一心で2人は走り続けた


「!!クロちゃん危ない!!」


「え?わぁっ!!」


クロが足をかけた階段が崩れる

とっさに引き上げたコハネが、クロと入れ替わるように落下する


「!?コハネさん!!!」


「立ち止まらないで!!!走り続けて!!!私もあなたに託す!!

だからシュンヤに伝えて!!!家族はもういないけど、君を思う人はここにいるって!!」


コハネの姿が見えなくなるとクロは立ち上がる


「・・・分かった、もう振り返らない私はシュンヤを止める!!」


クロが決意を新たにし、階段を上る

もう息切れもふらつきも動機も眩暈も関係なかった

託された思いを伝えるためクロは走り続けた


「・・・シュンヤ・・・」


階段を上り終わり、声を出す

声をかけられた張本人はゆっくりと振り返り、不気味な微笑みを見せる


「あぁ・・・本当に来たんだ・・・・」