P-F 04
「あ、イブー!」
「純、久しぶりだね」
イブが待ち合わせた少女と共に町へ出る
「にしても一般的な休日に1日休みなんてよく取れたね」
「いやー、実はメンバーと猛喧嘩しちゃって、一日休んで頭冷やせって言われちゃったんだ」
「あらら~って言うか不仲説流れてるけどそのへんどうなの?」
「そりゃあどっちかといえばビジネスパートナーの関係だからね、仲良いわけないでしょ」
「差別を消すことが目的のグループがそんなで良いの?」
「仲良くしたいけど、やっぱり目的が違うとすれ違いがすごくて・・・」
「ふーん・・・」
カラオケボックスに入ると純と呼ばれた少女はマスクを外し帽子を脱いだ
「あー!やっと顔が出せるよー!!」
「そりゃあんたが顔出ししてたら人だかりで道埋まっちゃうよ、バニーJ」
「プライベートのときにその呼び方はやめてよ、今日だってカラオケだけどボクは自分の曲歌わないからね」
「はいはい」
「ってイブが歌うのかよ!!」
「だってランキング上位だし」
「はぁ・・・」
カラオケを一通り終えると2人は純の家で話し合うことになり、純の家へと向かう
家にたどり着き部屋へ入ると純がため息をつく
「そりゃあさぁ、人気が出るのはうれしいよ、アイドルグループBridgeHeavenryなんて今やこの世界で知らない人はいないほど大人気だけどさ、ボクの目的は人気が出ることじゃなくて、差別を無くすことなんだから」
「まぁ確かに差別すさまじいよね、天使族はほかの種族汚物として毛嫌いしてるし、悪魔族もほかの種族をお高く留まりやがってみたいな目で見勝ち、共通してるのは死神族を羽のないやつって馬鹿にしてること、で死神族はというとあいつら見下しやがってって意識が少なからずあるからね」
「もー!!そんなんじゃ意味ないじゃん!!」
「でも、家族と久しぶりに連絡とってみたんだけど、お姉ちゃんが「最近種族を問わず仲良くするやつが増えてむかつく」って言ってたよ」
「ハッ、ざまーみろ・・・そういえばイブ前は天使族だったよね?」
「うん、でも家族がすさまじい種族へのこだわりを持つのがどうしても会わなくて当時の彼氏にも酷い分かれ方させられて嫌になっちゃって」
「でもなんで死神族を選んだの?」
「羽がないじゃん?楽そうかなって」
「うっわ何その適当な理由・・・」
「っていうのは冗談で、どちらからも下に見られてる種族になれば楽になれると思ったんだよ・・・」
「イブ・・・」
「とまぁそんな感じかな?ほら、純もこの際言いたいこと全部言っちゃえば?」
「あははははは・・・・」
純とイブが笑いながらお互いの話をし続ける
ふとイブが口にする
「あ、そういえば霧斗くんが最近よく病院に天使族に会いに行ってるんだ」
「え?浮気?」
「そうじゃなくて、生まれたときから学園に監禁されてて最近監禁先が病院に変わったみたいで、死神族も悪魔族も見たことなかったから気になるんだって」
「へー・・・でもなんでだろう?子供のころから病気・・・とかだったら普通子供のころから病院で過ごすもんね・・・」
「そうなんだよね・・・なんかやばいことにでも巻き込まれてるのかな?」
「じゃあ止めたら?彼氏なんだし」
「何言ってるの?彼氏が足突っ込んだことだから私もそれに付き合おうと思ったんだよ」
「あんたやっぱ最高!もしなんかあったらボクも協力するから巻き込んでよ!」
「うん、そのときはそうするね」
そしてスマートフォンから流れる電子音
「あ、ごめん、メール・・・あ、明日から活動再開出来そうだって」
「良かったね、私はもう一日休んで学校とバイトかー」
「おやおや、デートはいいのかい?」
「いいよ、霧斗くんとは学校でずっと一緒だし」
「それはそれで変わった話だな・・・」
霧斗がノックをし、病室に入る
凪斗が待ってましたと言わんばかりに霧斗を迎え入れる
「あ、そうだこれ、後輩が君にって」
「何これ?」
「それはタブレット・・・えっと、使い方は・・・」
「おぉ・・・!すごい!!色んなことが出来るんだね!!」
「あ、このアプリ通話アプリだ、ボクのアドレス登録しておくね、これでいつでもボクと会話できる・・・けどボクも学校とかバイトがあるから常には無理か」
「ありがとう!何かあったら連絡するね」
「ところで聞いてもいいかな?凪斗は何で入院してるの?個室でナースステーションのそばなんてまるで重病みたいだよ、何か重い病気なの?それとも目に見えない酷い怪我をしたの?」
「それが・・・全部知らないんだ、看護師さんに何度も聞いたんだけど、「前より良くなってる」としか言われない、ボクだって何か理由があるのなら知りたいよ・・・」
「そんなのおかしくない?患者には知る権利があると思うんだけど・・・」
「分かんない、週1で血は抜かれるんだけどそれ以外は特に何もされないし」
「ねぇ、一度親を通すなりなんなりしてしっかり聞きなよ、このままじゃ君も納得できないでしょ?」
「無理無理、うちの親弟が言うには金遣いが荒くて常に遊んでる人だから弟が苦労してるぐらいだよ、絶対に来ないって・・・」
「そっか・・・でもとにかく医者なり看護師になりに絶対に聞き出しなよ、じゃなきゃ後悔するかもしれないし・・・」
「分かった・・・」
そういわれた凪斗はその日のうちに思い当たる看護師や医者すべてに自分のことを聞きまわったが、すべて「良くなっているから気にするな」としか言われずもやもやとした気持ちを背負っていた。