P-F 26
その日、凪斗とミカはけたたましい爆音とともに起床した
「何!?」
「助けに来たよ、凪斗」
「霧斗!?なんで・・・」
「良いから一緒に来て、あっちに行けば君の双子の弟が待ってるから」
「でも・・・」
「大丈夫だから」
「・・・うん」
紫苑が電圧を最大にしたスタンガンをミカに放ち動けない状態のミカの体を探る
「・・・大きくなったね、紫苑」
「あんたは小さくなったね・・・あ、あった、松葉凪斗の身分証」
「それで、本気で俺がこれで動けないと思うの?」
「いや、あんたならすぐ動けるようになると思う」
「よく分かってるじゃん」
ミカが身分証をたたき自身の大砲を取り出す
大砲の球はまっすぐ紫苑に向かい発射されるがそれは紫苑の前で切られる
「初めまして、白亜伊吹です、強い人と戦えて光栄です、あ、ちなみにこの壁壊したのも私だから実力は見ての通りだよ」
「あっそう・・・」
そこに近づく足音
「紫苑!!」
「パスッ!!」
紫苑が霧斗に身分証を投げると霧斗がそれを受け取り凪斗の手を引き走る
「なっ!!待てっ!!!」
「おっと!!君の相手は私だよ」
大砲を傾けるミカに対しイブが蛇腹剣を伸ばし動きを遮りながら言う
「・・・死神族風情が俺の計画を邪魔するんじゃねぇ!!!」
施設からさらに大きな音が響いた
「ねぇ霧斗、これ大丈夫なの?」
「分かんないけどもう信じるしかないよ、ゲートまで急ぐよ」
「うん・・・」
二人がゲートにたどり着くと霧斗が受け取った身分証を凪斗の首に下げる
「これで創造世界に帰れるね」
「ありがとう・・・」
「それを言うのはまだ早いよ、誕生日、無事に終わらせよう、そうしたらイブの友達が二人にケーキ焼いてくれるって」
「・・・そっか」
凪斗が笑う、霧斗が安心したように改めて手を握るとそのままゲートの中へと飛び込んだ
イブが紫苑の援護を利用しながら本気でミカに挑む
ミカも本気を出したようで大砲を放つのはもちろん、自身の肉弾戦も兼ねながら挑む
悪霊との実戦経験のあるイブとは言え、本気の天使王には敵わずすでに服はぼろぼろで体の至る部分に傷ができ始めている
「・・・はぁ・・・すごい時間食っちゃったな、やっぱこの姿じゃダメか・・・はぁ・・・あの姿あんまり好きじゃないんだよね」
そういうとミカは特徴的な動きで自身の身分証をなぞる
ミカの姿が少し光ったかと思うとそこに立っていたのは少年ではなく青年であった
「・・・お嬢さん、本気で行かせてもらうからね」
「・・・望むところ」