P-F 21

休日に凪斗を迎えに霧斗が向かうと、凪斗は青い顔で立っていた


「凪斗、君を守る場所ができたんだ、だから」


「ごめん、ボク行けない」


「え?でもそこにいればもう安全なんだよ、大丈夫だから」


「・・・ここでやることができたんだ、だからいけない」


「でも」


「帰って!!もう二度と姿見せないで!!!」


「なんで!?」


凪斗が勢いよくドアを閉める


「・・・これでよかったんでしょう?天使王様・・・」


「あはは、その呼び方はやめて、今まで通りミカちゃんで良いよ」


締め出された霧斗は茫然としたまま立ち尽くす
少し時間がたち我に返ると紫音に電話をかける


「えっと・・・もしもし紫音?そう、ボク霧斗、どうしよう、締め出されちゃった」


『・・・は?ちょっと待って今行く』


「いやいや、病室抜け出すつもりなの?なんか電話越しにテープ的なもの剥がす音がするけど点滴針抜こうとしてない?ねぇ、本当にやめて」


『じゃあどうするの?様子見するの?』


「強行突破しちゃダメ?」


『あんた一人でできるの?』


「無理だね・・・じゃあせめて百合子さんに言うとか?」


『あーそうだね、じゃあメール出すから伝言頼むわ、なんか最近メールが届かなくて・・・』


「うん、分かった、紫音は体大切にね、間違っても点滴針抜いて脱走とかやめてね」


『・・・・』


「え?やってないよね!?本当にやってないよね!?返事して紫音!!!」


『やってないやってない、ちょっと考え事してただけ、それじゃあ』


紫音からの電話が切れ、しばらく待つとメールが届く


「これを百合子さんに報告しろってことか・・・」


「私がどうしたの?」


「うわぁっ!!!」


「わぁっ!そんなに驚かなくてもいいじゃない、どうしたの?」


「えっと、これ、紫音からの伝言です」


「紫音くんから?・・・あ、確かにこのアドレス紫音くんの・・・」


百合子がメールを読む


「・・・大体分かったわ、私の方でも動いてみる・・・このメールに返信してもいいかしら?」


「はい、どうぞ」


百合子が霧斗のスマホでメールを書く


「紫音くん元気?この間お話ししてたらどんどん顔色悪くなるから心配してたんだけど・・・」


「現在入院中です」


「あらら・・・事件以降はすっかり病弱になっちゃったものね、前はここにもしょっちゅう来てくれてたんだけど」


「小さいころから知ってるんですね」


「まぁね、赤ちゃんの頃から知り合いだったから弟みたいなものよ」


「そうなんですか・・・って、王族のあの子が赤ちゃんの頃から知り合い・・・?」


「・・・私、悪魔王なの、両親が早くに引退しちゃったから今こんな若造だけど王様やらせてもらっててね」


「へー・・・え?」


「正直、私が創造世界に戻って業務をやった方が紫音くんのお父さんのためでもあるんだけど、あの人今最年長だから好きにしていいよって言ってくれてね・・・甘えすぎちゃった恩をようやく返せそうだわ」


「はぁ・・・」


「創造世界のこと、よろしくね、私は地上で頑張るわ」


「・・・分かりました」