P-F 20
紫音が病室でノートにペンを走らせる
一瞬のスキを付かれそのノートは父親に奪われた
「父さん!!それ返して!!!」
「だめ、何考えてるか知らないけどまた良からぬことだろ?それにお前俺に言わず地上に降りた挙句帰宅直後に血吐いてぶっ倒れやがって・・・」
「それはごめんって」
「前にも言っただろう?お前の体だとマンボウが大人になるぐらいの確率でしか生き残れないって」
「でもベノムキッズが天使に接近してるかもしれないから危ないなって思うとどうやって保護しようって考えちゃって・・・」
「それは俺がやるからお前は休め、今朝だって40度近い熱があったのに・・・」
「解熱剤で熱は下がったから大丈夫、しんどくない」
「・・・無理はするな、なんでお前はそう父親を置いて行動したがる・・・」
「父さんには王様としての仕事がある以上こういうことはぼくがやった方が良いでしょ?」
「はぁ・・・最初に資料を見られたのが運のつきか・・・しゃーない、協力するから好きにしろ」
「え?良いの・・・?」
「止めて無駄なら危険を共有するほうが危なくないだろ?」
「あ、じゃあここに書かれてること全部こなして、そうしたらこの入院中はおとなしくしてる」
「・・・分かった、なるほど・・・これは確かにやんなきゃだね」
「じゃあよろしく!あー・・・しんどっ!!もう頭上げてるのしんどい・・・」
「ほらやっぱ無理してんじゃねぇか!!!」
「父さん、余裕あったらチョコミントアイス買ってきて」
「分かった、ただアイスバーな、体弱ってんだからカップはダメだ」
「うん・・・分かった」
紫音の父親が病室を後にすると言う
「・・・相談してくれれば俺だってちゃんと協力するんだけどな・・・」
所変わって春日ヶ丘学園
「はぁ・・・」
「霧斗くんどうしたの?」
「この間のゴールデンウィーク地上に行ったじゃん?紫音相当無理してたみたいで家に帰ったら高熱出して血吐いて倒れてそのまま病院へゴーだって」
「えー・・・大丈夫なの?」
「しばらく入院だって」
「あちゃー・・・それで、霧斗くんのほうは大丈夫だったの?」
「うん、大丈夫、久しぶりの地上でちょっと戸惑ったけど、紫音には迷惑かけたなぁ・・・」
「あー・・・OTOHAパティスリーの新作のチョコミントロールケーキでもお見舞いにもっていってあげる?確かあの子チョコミント好きだったよね」
「そうするよ、そういえば、チョコミントって選択肢があるなら必ずチョコミント選んでたね」
「チョコミント味が増えるから夏が好きなくせに暑さで貧血になるって言ってたね・・・」
「・・・難儀だなぁ・・・」
「難儀だね・・・・」
霧斗がケーキを買って紫音の病室を訪れると紫音はだいぶぐったりとした状態で横になっていた
「えーっと・・・大丈夫?」
「平気、もう少ししたら治るから」
「あ、これ差し入れ、チョコミントロールケーキ」
「おぉ!ありがとう!!チョコミント大好きなんだよね」
「知ってる、それで凪斗のことはどうするの?」
「父さんに任せた、さすがにちょっと心配かけすぎたしね・・・んー、チョコミントってやっぱおいしいね」
「ボクは苦手だから何ともだけど・・・ってお父さんに任せたんだ、まぁ確かにボク達子供じゃもう限界かもね」
「そういうこと、まぁボクもいい加減無茶しすぎだしね、ちょっと休むならちょうどいいよ」
「でも事態は一刻を争うんじゃ・・・」
「まぁその辺は父さんを信頼してるから早くやってくれると思うよ、もう一切れ食べていい?」
「看護師さんに怒られない?」
「・・・ごまかす!!」
「採血したらばれるわアホ」
「あ、父さん・・・」
「お邪魔してます」
「いえいえどうぞごゆっくり、あ、これ息子に買ってきたチョコミントアイスだけど食べる?」
「あ、えっと・・・甘いものは苦手で・・・」
「っていうか父さん、ベノムキッズのことはどうなった?」
「とりあえずうちで保護する態勢はできたから迎えにさえいければあとは何とでもなる」
「よし、じゃあ次の休日皇霧斗、あんた迎えに行ってあげて」
「うん、わかった」
「父さんはそのアイス頂戴」
「・・・はぁ・・・今日だけだぞ」
「わーい」
「マジでこういう時は子供なんだなぁ・・・」