03

次の土曜日、シュンヤは何事もなかったかのように目を覚ました

朝食代わりにビスケットを食べていると窓からノック音が聞こえた

シュンヤがカーテンを開けるとバトラーがいた


「それで、何の用ですか?」


「準備が整いました、今すぐいきますか?」


「ん・・・ちょっと考えさせてください、持って行って良いものとそうでないものはありますか?」


「特に指定はありませんよ、お好きにどうぞ」


「そりゃどうも」


そういうとシュンヤはリュックに携帯食料と水と財布を詰めて窓を開けた

すぐにバトラーから指示が入った


「あー・・・お金ですか」


「持って行っちゃだめですか?」


「あ、いえいえ、必要ないってだけです」


「そうですか」


シュンヤが部屋に財布を置きに戻った

そこで財布の変わりに唯一の家族写真を手に取ると一瞬ためらったがすぐにその写真をリュックに入れた


「バトラー、お願いします」


「はい、では」


バトラーがそう告げると目の前に扉が出現した

シュンヤは何のためらいもなしに飛び込んだ


「ふぇっ!?」


シュンヤの間抜けな声が響いた

それもそのはず、その世界に来たシュンヤは空中にいた

曇った茶色の空と茶色のレトロな建物、得体の知れない機械のちりばめられた蒸気機関の見える世界が見えてくる

シュンヤは事情を理解するのに体感時間で数十秒、実際は0.数秒かかった


「うっわあああああああああ!!!!」


シュンヤがまっ逆さまに落下する

地面が近くなりシュンヤは目をつぶったが地面ぎりぎりでシュンヤは受け止められた


「っぁっ!?」


巨大なシャボン玉の上で呆然とするシュンヤに声をかける少女

赤いベレー帽を被り黒いボブの髪に黒く長い耳が付く


「危なかったね、大丈夫だった?」


「あ・・・・ありがとうございます!!」


シュンヤが土下座をしんばかりの勢いで頭を下げる

相手は笑顔で言う


「お礼なんて良いんだよ、私クロ、君は?」


「シュンヤ・・・です」


「そう、よろしくシュンヤ」


クロが手を差し出す

シュンヤがその手を握る


「じゃー早速だけど戦う?手を組む?」


「ふぇ?」


シュンヤが評しぬけたように声を出した

クロが微笑む


「その様子じゃ特に考えてないみたいだね」


「すいません・・・」


「いや、いいよ、私は仲間探ししてたところだし」


「ちょっと待ちなさいよ」


「んあ?」


声にクロが振り向く

そこには二つ結びの少女とそれを取り巻くように少年が立っていた


「あんた私たちの誘いは断るのにそんな子と手を組むの?」


「うん」


「私が誘ってあげたのよ!!素直に対応しなさいよ!!」


「うー・・・ん申し訳ないんだけどそういうわけには行かないの、自分のことは自分で選ぶから」


「あっそう!!じゃあぶっ潰す!!」


「おいおいジャクリーン、お前そう言ってこの間負けただろ?1回負けたらもう挑めないんだぜ」


「ブレーズ正しい」


「んもうっ!!!じゃああんた達がやりなさいよ!!」


「やだよあんだけ強いんだからさ」


「上に同じ」


「じゃあそこの新入り!!」


「え?あ・・・はい」


「私と戦え!!」


「えぇ!?」


「シュンヤ、残念だけどこれは断れないよ、死に掛けたら助けてあげるから行って来て」


クロが背中を押した

シュンヤが嫌そうに前に出る


「あたしはジャクリーン・ウィンド、風を操る」


「えと・・・黒瀬俊也、物体浮遊・・・・」


「んじゃ行くぞ!!」


「わああああああ!!!」


シュンヤが叫ぶ

風を切る音におびえながらシュンヤはひたすら攻撃を避け続ける

クロがシュンヤに叫ぶ


「シュンヤ!!避けてばっかじゃなくて戦って!!」


「無理無理無理無理!!」


「あーもうしょうがないなぁ!!」


クロが叫び絵筆を振るう

するとそこに1枚の壁が現れた

シュンヤがそこに飛び込み攻撃を受け止める


「シュンヤ、物体浮遊できるって言ってたよね?だからこの壁浮かせて風をガードしながら進んで、後は何なり任せる」


「えっと、分かりました!!」


シュンヤがクロの指示に従い動き、間合いをつめジャクリーンにその壁をぶつけた

思いのほか壁が分厚かったらしくジャクリーンのカマイタチでは壁が切れず壁に押しつぶされた


「ジャクリーン!!」


「あぁ、大丈夫、これ見た目より軽いから」


クロがそういうと壁を持ち上げた

ジャクリーンは無事だった


「大丈夫だった?でもこれで負けだね」


「あーもうっ!!最近私の勝率低すぎ!!」


「しょうがないよ」


クロがジャクリーンに手を伸ばすがジャクリーンはそれを無視してブレーズとキンバリーと共に行ってしまった


「シュンヤ、私今日寝るところ探してくるね、なるべくここ動かないでよ、たぶん人から見つかんないでしょ」


「あ!クロ!!」


クロは軽い動きでどこかへ行ってしまった