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「ん・・・・」


シュンヤはいつ戻り目覚まし時計よりも早く起きた

いつも目覚ましをセットするがなぜか目覚ましよりも遅く起きた経験がない

この日もそうだった

本来なら日曜日であり早く起きる必要性もないが習慣というものは1度身に付いたら抜けないものでありシュンヤの場合も同じだった

大体は伯父伯母よりも早く起きるため、先にポストの中を見て郵便物を確認する

いつもは自分宛の手紙は大学受験の案内や成人式に着る服の案内しか来ないはずだが、今日は違っていた


「Mine Funeral総合管理委員会・・・・?」


見慣れない手紙であったため捨てようとも思ったが怪しげな手紙を受け取ることに心当たりを覚えたシュンヤは自室に戻り手紙を開封した

手紙にはこう書いてあった


「このたびは「Mine Funeral」への参加権を取得いただきまことにお悔やみ申し上げます

つきましては同封されている書類の参加証明書に参加か不参加に丸を付けていただき

煙が高く上がる場所で白い皿の上にて手紙を燃やしていただければ参加証明を完了とさせていただきます

なお、不参加の場合はあなたの平穏な人生を約束します

Mine Funeralの説明は、同封されたガイドブックをご覧ください

Mine Fuleral総合管理委員会会長」


シュンヤは悩んだ


「誰にも相談するな・・・とは書いてないな・・・期限も書いてねえし・・・」


そうつぶやくと手紙をカバンの中にしまい、幼馴染の家に向かった


「・・・で、シュンヤは私に何を相談したいのかな?」


幼馴染であるコハネは不機嫌そうにシュンヤにたずねた

それもそうだ

いきなりこんな手紙を突きつけられれば誰だって「意味が分からない」と言った感じに不機嫌になるものだ


「だから、この大会に参加すべきかしざるべきかって話」


「私なら絶っっっっっっ対にっ!!!!!参加しないっ!!!!!」


「そんなに力強くいう事か?」


「だいたい、あんたも何でこれに参加しようか迷ってるのよ、普通なら全力で無視でしょ」


「そ・・・・それは・・・・」


シュンヤが口ごもった

コハネが不思議そうに見つめる


「コッちゃん、誰にも言わない?」


「あぁ?言わない、言わないから迷う理由言って」


シュンヤが立ち上がり軽く深呼吸をすると片手を前に突き出し意識を集中させた

不思議そうに見つめるコハネの目の前で本棚に入れてあった本が宙を舞った

まるでじゃグリングのようにシュンヤがくるくると空中で本を回し、ある程度回すとその本を本棚へと片付けた


「シュンヤ・・・これ・・・・」


「これが俺がこの「Mine Funeral」の参加権を得てしまった理由・・・じゃないかな?」


「なるほどね、それでシュンヤはどうしたいの」


「俺は・・・・正直参加したくはないよ」


「だったら・・・」


「でも、ガイドブックにこう書いてあるんだ「優勝者はどんな悲惨な運命でもその過去、現在、未来を変えることができる」って」


「胡散臭すぎ・・・で、これって一体なんなの?」」


「簡単に言うと、バトルトーナメント・・・かな」


「バトルトーナメント!?そんな危ない大会に!?」


「危ないかどうかは分かんないよ、命の保証がないとは言え必ず死ぬとも書いてないし」


「でもさ、危ないよ」


「・・・・しばらく考えるよ」


「シュンヤ!!」


「はい」


「私は参加しないで欲しいな」


コハネがシュンヤの手を握りそう告げた

シュンヤは困ったような表情を浮かべた


シュンヤが行く当てもなくふらふら歩いていると目の前に黒い影が立ちはだかった

真っ黒な燕尾服に白い鳥の顔の仮面

明らかに怪しいの一言しか出ないシュンヤは呆然とその影を凝視していた


「黒瀬俊也様ですね?」


「は・・・はぃっ」


少し声が裏返りながらシュンヤは返事をした


「「Mine Funeral」の件ですが、どうなさいますか?」


「え?これってそんなに早く出さなきゃならないものなんですか?」


「いえ、ただご主人が急かすもので」


「はぁ・・・・?」


シュンヤが納得できないような返事をした


「シュンヤ様、参加、どうなさいますか?」


「・・・・まだ考えてます」


シュンヤがそういい立ち去ろうとした瞬間、仮面の男はつぶやいた


「運命を、変えたくはありませんか?」


「え?」


シュンヤが足を止め振り返る


「人というものは、天界で定められた運命をなぞって生きているものです、けれどそんな人生はつまらない、そう思いませんか?」


「別に・・・」


「そうですか、ではやり直したいことや取り消したいことはございませんか?」


「へ?」


「たとえば「もっと頭がよければ」だとか「あの時告白しなければ」など何でもかまいません」


「・・・・」


「ゲームに勝てば、全ての運命をリセットしやり直すことも可能です」


シュンヤがこぶしを握った


「・・・・参加・・・します」


「そうですか、では説明書どおりにお願いします」


「・・・・はい」


シュンヤがまっすぐと仮面の男を見つめた


「あぁ、申し送れました、私、バトラーと申します、あなたの専属執事です」


そうバトラーが言うとシュンヤの持っているものと同じヘッドホンを装着した

シュンヤはそれをみると一直線にコハネの家へと向かった


「シュンヤ?どうしたの?」


「コッちゃん、これ、この大会参加することにした」


「・・・・そっか」


コハネはシュンヤの方を思い切り叩いた


「痛ッ!!!」


「やれば出来るじゃん!自分で選択!!あんた昔から私に頼ってばっかりだったけどやっっっと自分で決定できたね!!」


「でも・・・」


口ごもるシュンヤの胸にコハネは軽くこぶしを当てた


「しっかりやんなよ、シュンヤ」


「・・・はい」


「あ、これは選別、持って行ってよ」


コハネはシュンヤの手をとり自分の首から提げていた翼の形をした笛のペンダントを渡した


「えぇ!?でもこれコッちゃんの宝物だよね?受け取れないよ」


「だから受け取れって言ってるの、私の大切な大切な宝物をあんたは持っていくんだから、絶対怪我なんかしないし絶対に生きて帰ってこれるの」


「あ・・・・ありがとうございます」


「そうそう、ありがたーくちょうだいしなさい!」


コハネがウィンクをした

シュンヤもその顔を見て微笑んだ

自宅に帰ったシュンヤは、指示通り白い皿の上で参加に丸をつけた参加証明書を煙の高く上がる場所で燃やした