P-F 09

「わあああああ!!!!」

ゲートを飛び出した凪斗は着地を失敗し、盛大に転ぶ

「いたたた・・・ここは・・・外!?」

凪斗が体を持ち上げ背伸びをすると叫ぶ

「外だ!!出られたんだ!!・・・あ、そうだ、霧斗・・・」

凪斗が振り返るとゲートは閉じられていた

「って言うかこのあとどうすればいいんだろう?って言うか雪めっちゃ降ってるし積もってる・・・」

「あ!」

髪の長い女性が凪斗に声をかける

「あなたこんな夜中に何でここにいるの?家は?」

「あのその・・・家・・・とかなくて・・・」

「・・・そう、家から追い出されたのかしら・・・?とにかく私の家に来て、こう見えて私子供の保護施設をしてるの、それにしても可愛いわね、猫耳パーカー

「あ・・・はぁ・・・」

言われるままに凪斗が女性の施設に向かう

「あぁ、そうだ、私の名前は雨宮百合子、あなたは?」

「えと・・・松葉凪斗です」

「・・・そう、凪斗くん、よろしくね」

百合子の施設に着くと凪斗は部屋に上げられる

「のど渇いてない?何か飲む?」

「えっとあの・・・」

「あ、そうだ、とっておきのガトーショコラがあるんだった!それとホットミルクで良いかしら?」

「え?はっ・・・はい!」

百合子がガトーショコラとホットミルクを出す
凪斗がホットミルクを一口飲むと少し緊張の解けた顔をする、ガトーショコラを口にすると目を丸くした

「おいしい!えっと・・・」

「ガトーショコラよ、チョコレートのケーキなの」

「生まれて初めて食べました・・・でも良いんですか?こんな素性の分からない天使族を泊めて・・・」

「まぁ、詳しい事情は徐々に話してくれれば良いわ」

「あの、保護施設って言ってましたよね?その規模の割りに人がいませんね」

「えぇ・・・そうね、まだ始めたばかりだもの」

「そうなんですか・・・」

「あ、ケーキ食べきったわね、今日は私の部屋で寝て頂戴」

「それでボクがあなたの部屋を使用してしまえばあなたはどこで?」

「あぁ、私はこのソファで寝るから平気よ、どこでも寝られるのが得意なの」

「そうですか・・・ではお言葉に甘えて」

「ここがその部屋よ、それじゃあ、おやすみ」

百合子がそういい扉を閉めるとスマートフォンからメールを送る

「これでよしっと・・・あとはあの子の誕生日まで私が保護を続けなきゃ・・・防犯システムを見直すべきかしら?」

百合子が少し考えいう

「このあたりの対策も紫苑くんに任せましょう、他種族のこと私はそんなに詳しくないもの」

一方そのころの紫苑

「あ、百合子さんからメール・・・対策・・・明日バイト先で考えますっと・・・、あそこならそう簡単に見つからないでしょ・・・それより眠・・・」

翌日

「あ、おはようございます、百合子さん」

「うん、おはよう、朝ごはん出来てるから食べて、苦手なものは残しても良いから」

「あ・・・はい・・・」

凪斗が食堂に当たる部屋に案内されると先に食事をとっている少年がいた

「あ!夜中にごたごたしてると思ったんだけど君が来たからか!へー、猫耳パーカー可愛いね、どこで買ったの?」

「ミカちゃん、質問はご飯のあとで」

「はーい、あ、俺は天子帝、気軽にミカちゃんって呼んで、あ、俺の方が先にここに来たからミカ先輩でも良いよ!」

「えと・・・松葉凪斗です・・・あだ名は特にありません」

「そっか、よろしくね、凪斗」

「うん」

「ミカちゃんはあなたの少し前にあなたと同じように保護した子よ、ちょっとつかみどころが無くて扱いにくいけど悪い子じゃないから」

「はい」

「ね、ね、ご飯食べたら一緒に話そうよ」

凪斗が朝食を終え、食器を返すとそれを待っていたかのように帝が凪斗の手を引く

「こっち、これの部屋!!」

「え?あ、うん」

凪斗が帝の手を引かれるままに部屋へ行く
ミカの部屋はシンプルという言葉がぴったりなベッドと机、本棚に少しの本があるだけの部屋だ

「どう?殺風景でしょ?」

「え・・・あんまり人の部屋とか見たことないから分からない・・・」

「あははー、自分の部屋ぐらいさすがに分かるよね?」

「自分の部屋も持ったことなくて・・・」

「そうなの?じゃあ案内してあげる」

帝が楽しそうに凪斗に本や自分のコレクションを見せる
凪斗ははじめてみるものに目をきらきらさせながらそれらを見つめた

「・・・というわけなんですが柳先輩、対策ってどうすれば良いと思いますか?」

「えと・・・紫苑様?そうですね・・・見つかるとまずいのは天使なので天使避けでも」

「それだと凪斗も追い出されちゃうでしょ・・・あとこうなるから正体現したくなかったんだけど・・・」

「あ、じゃあ今まで通りでいくわ、じゃあ登録式にして登録されてないやつは入れなくするかだな」

「それだと登録がいちいち面倒くさいじゃん・・・もっと簡単かつ簡潔な方法は」

「じゃあもうこれだ、監視カメラを仕掛けて24時間体制の監視、または異常があれば無理やりたたき起こすギミックをつける」

「よし、採用」

「いいのかなこれで・・・?」