熊本市長,二度目の給与全額カット

新Googleサイト移行のために自動変換された旧サイト(2013年)のファイルです.修正版をご覧ください.

熊本市長(幸山政史)は7月11日,公金横領など相次ぐ職員不祥事の責任を取り,7月分の給与113万2千円を全額カットするとの考えを市議会に伝えた.副市長2人も7月の給与を30%減額する.そのための条例案を定例市議会に提出するとのことである.

職員不祥事を受けた市長の給与減額は2002年の就任以来6度目で,全額カットは2度目である.

ここに至った経緯を最近の地元紙(熊本日日新聞)の記事を使って紹介したい.

ここ5年の懲戒処分は,08年度が11件14人(免職2人),09年度は10件16人(同2人),10年度6件9人(同2人),11年度11件21人(同2人),12年度は9件22人を懲戒処分(同6人),下半期に不祥事件はなかったが,12年度9月までの半年で,11年度を上回るペースだった.市は09年度の状況を他政令市と比較しているが,処分件数を職員数で割った発生率は横浜市,大阪市,京都市,福岡市に次ぐ5番目の高さ.[熊日/2012/10/10,2013年04月24日]

政令指定都市2年目に入った2013年4月には,スポーツ振興課の男性参事(46)が市スポーツフェスタ実行委の運営費などから推計2298万円を着服していたことが発覚,市動植物園の不適切な事務処理も判明し,アフリカゾウの骨格標本作製にあたり,別の予算の残額(執行残)を無断で流用したとして,園長を訓告処分とした.さらに定例会見当日未明には,市立中学の男性臨時講師(47)が,女性のスカートの中をスマートフォンで盗撮したとして,県迷惑防止条例違反の疑いで逮捕された.[熊日/2013年04月24日]

その後,南区役所福祉課の主任主事(36)が,身寄りのない同区の男性(87)の遺品からキャッシュカードを持ち出し現金10万円を引き出し横領したとして,主任主事を同日付で懲戒免職処分としたと発表した.市人事課によると,主任主事は今年3月まで身寄りのない死亡者の遺留品の引き取りを担当.昨年10月に亡くなった男性の通帳やキャッシュカードなどを福祉課内のキャビネットに保管していた.同11月6日にキャッシュカードを持ち出し,嘉島町の郵便局で現金自動預払機から現金10万円を引き出した.3日後に口座に全額を戻したという.[2013年05月29日 遺品から10万円横領 熊本市職員を懲戒免職(熊日)]

これらの不祥事は,度重なる事件をうけて,防止に取り組んでいる最中に起こっている点が問題である.スポーツ大会の運営費着服問題では,市監査委員が2009年度の監査で,同フェスタ実行委の不適切な会計処理を指摘していたにもかかわらず,改善措置が取られていなかったことが9日,分かった(4月10日熊日).

盗撮事件に関しては,市教委によると容疑者は,今月入学した1年生の担任で社会科を担当.勤務態度は真面目だったという.逮捕当日は午後から生徒の家庭訪問をしていた.校長は「生徒や保護者、地域の皆様の信頼を裏切る結果となり,おわびの言葉もない」とのコメントを出した.また,市教委は昨年6月に小学校教諭が酒気帯び運転で現行犯逮捕されて以降,各校でセクハラや体罰,飲酒運転に関する研修を進めるなどしていた.「不祥事防止に取り組んでいる最中でこのようなことが起きて残念.事実確認をして処分を検討する」と陳謝した.

幸山市長は「組織が生み出した不祥事と言っても過言ではない.人ごとと捉えている職員がいる一方で,何が起きたのか末端まで伝わっていないとの声もあり,それが再発につながっていると思う」と語った.

市長の給与全額カットに関する市民の反応は意外と厳しい.「当り前たい」,「給料はなくてもボーナスがあるから困らっさん」などである.政令都市移行のための職員教育不足と指摘する人もいる.

(2013.6.22)