須田貝ダム
周囲の様子も捉えた建設中の写真(1954年頃)
(2017/02/07公開 2019/08/01改稿)
(2017/02/07公開 2019/08/01改稿)
※目印は撮影位置です
建設中のダム、工事関係者工でなければ写すことのできそうにない写真です。この写真が残っていたのは、撮影者がダムと何らかの関わりのある立場の人だったからと思われます。写真は撮影者が残した遺品のネガの中に眠っていました。
別コマ写真からのトリミングです。家があり橋が架かっています。橋を歩く人影も確認できます。最初の写真では同じ橋をトラックが通っています。
玉石を積み上げて作られた道があります。電柱もあります…。ただし、電柱は電気を引くため(工事用)に仮設したものです。
ほとんど人気のない山奥の工事現場、完成前でその全容を見せていないダム…、これだけではどこの場所か見当のつけようがありませんでした。しかし、同じ日に撮影した別コマの写真がその手掛かりとなりました。
土木図書館土木学会学術論文等公開ページ内にある文献「須田貝発電所建設工事について」の図-2「須田貝発電所仮設工事配置図」と照らし合わせると、写真に写っている構造物は、セメントサイロとバッチャープラント(現場でコンクリートを製造する設備)と推測されます。上に見える2本の線はコンクリート打設用のケーブルクレーンの一部です。機械部分は写っていません。
前文献に「当地点は天然の骨材の運搬が容易でないのでダム下流1.5kmの箇所の石英粗面岩の原石をダンプトラックにより運搬し,細粒骨材ともこれを製造することにしている。」
(出典:土木学会年次学術講演会講演概要集第10回(1954) p6)とあります。写真のダンプカーはコンクリートの原材料を運搬していたものでしょうか。
ここで紹介した須田貝ダムの写真は、コンクリート打設中の写真です。葉を落とした木々が写っており、積雪の痕跡は全くありません。1954年晩秋頃に撮影されたものと推測されます。よく言う「ダムの底に沈む集落」というのは、ダム湖(ここでは洞元湖)側のお話です。この写真はダムの放流ゲート側の撮影です。写真に写り込んだ家や道路が湖の底に沈むことはありません。(google mapの空中写真参照)余談ですが、須田貝ダムはあるテレビドラマのロケ地となっています。隕石怪獣ガラモンがダムを破壊する…特撮番組ウルトラQの第13話 「ガラダマ」(1966年放送)です。その中に「洞元湖に浮かべたモーターボートから水面下に沈んだ集落を覗き込むシーン」があります。この写真の道や橋は湖に沈んだ集落と同じくそこにあったものか、工事用に仮設されたものか、判別しかねます。写真にはそれらが混在して写り込んでいると思われます。(2017/02/07公開 2019/08/01改稿)
東京電力50年史 (発電の50年-当時の須田貝発電所)
土木図書館 (学術論文等公開ページ-土木学会年次学術講演会講演概要集-第10回-須田貝発電所建設工事について)
技術科@スクール (技術のわくわく探検記-2001.4.14須田貝発電所)
ウルトラシリーズロケ地探訪(エピソード別-ウルトラQ-13 :ガラダマ-須田貝ダム)