上市野川橋

滑川町水房と嵐山町川島の堺の橋(1951年頃)

(2018/11/30公開)

※目印は撮影位置です

欄干端の柱に橋名が書いてあります。拡大して横に引き伸ばしてみると「かみいちのかはばし」と読めます。写真の橋は埼玉県滑川町水房にある上市野川橋です。背景の山並みを別の写真とつないでみました。柱右の尖っている山は笠山です。関越自動車道の近い位置から見たストリートビュー(2017年11月)で山並みが確認できます。橋は南北方向に架けられており、川の北側が滑川町(当時は滑川村)水房、南側が嵐山町(当時は菅谷村)川島です。

何となく写真の構図に不自然さが感じられます。写真は、橋の上からではなく橋の北端を少し離れた低いアングルから撮影しています。しかも、やや右下がりの傾いた写真です。人物が中心なのは当然として、そこに撮影者の意図があるように思います。まず、橋の名前が読み取れたのは偶然ではなく撮影者の狙いどおりでしょう。そして、撮影者は構図に川の流れと背景の青い山並みを取り込もうとしたのではないでしょうか? 人物の服装と日傘を差していますので季節は夏です。この辺りでは夏に山並みがはっきりと見えることは実は珍しいことなのです。撮影者には、日に照らされた木の橋、川面と山並みの青色、里山の緑、空の白い雲、赤い日傘(たぶん)、色鮮やかな光景が目の前に広がっていたのではないかと思われます。白黒写真なの想像するしかありませんが、撮影者の気持ちになってもう一度写真をご覧願います。(2018/11/30公開)

背景の山並み(比企丘陵)です。市野川の上流の「矢崎橋」全体が写っています。前の写真と比較し笠山が左に寄っています。前の写真より右(北)寄りの撮影方向であったことを示しています。ちなみに、笠山(中央やや左側)のすぐ左は笹山、その左に幅広に見えているのは堂平山です。

次の3枚の写真の内、空中写真(2枚)は、国土地理院の空中写真(参照:国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」)の該当する橋の部分を切り取ったものです。

市野川の様子です。撮影者は、橋全体が見える位置まで移動しています。川の水量は多め、台風の後何かでしょうか?

矢崎橋(出典:国土地理院の空中写真・1947年10月24日撮影)この橋の下流(写真右)約800mのところに上市野川橋があります。

上市野川水橋(出典:国土地理院の空中写真・1947年10月24日撮影)川がカーブしており、この橋から矢崎橋は見えません。

さて、撮影者の足取りは、上市野川橋で笠山を背景に人物を撮影した後、撮影ポイントを求めて土手を500m程西進し、矢崎橋が見えてきた場所で笠山を背景に日傘を広げさせて写真撮影した、そんな感じと思われます。(2018/11/30公開)

■参考サイト

国土地理院(地図・空中写真・地理調査-地図・空中写真閲覧サービス-地名又は経緯度検索-地名又は施設名検索-「滑川町水房」で検索)

嵐山町web博物誌(Web06:郷土史アーカイブ-10章:空から見た嵐山町-1節:空から見た七郷地区-太郎丸-嵐山町市街地遠景 )

荒川上流Giro Giro日記(「市野川橋」で検索-市野川ポタ1「看板に偽りあり」)