小川町七夕

今屋紙店前から小川駅入口方向 (1954年8月)

(2018/10/30公開 2018/11/04加筆)

※目印は撮影位置です

このストリートビュー(2018年7月)とほぼ同じ位置から撮影した1954(昭和29)年の写真です。と言ったところで、当時の面影は全く残っていません。七夕の飾り付けに遮られ街並みの様子すらわかりません。場所特定の経緯は後回しにするとして、ここは埼玉県比企郡小川町です。小川町七夕まつりが始まったのは1949(昭和24)年です。「和紙の復興を願って始まった」(出典:国土交通省 関東地方整備局 大宮国道事務所 記者発表資料)そうです。七夕まつりを始めて5年目の熱気が伝わってくるような写真です。当初、小川町の七夕まつりは8月6・7日に行われていました。今(2018年時点)の開催日は7月下旬の土日です。詳細は、巻末の「参考サイト」をご参照ください。また、小川町では古くから和紙作りが行われており、2014(平成26)年、手漉き和紙(細川紙)の技術がユネスコ無形文化遺産に登録されています。(出典:小川町「小川和紙について」

写り込んだ看板が手がかりに

「安井商店」のようです。ストリートビューで見ると「安井文具」があります。

「クスリ市川」でしょうか?ストリートビューで見ると「市川薬局」の看板(移転のお知らせ)があります。

このウサギはエスエス製薬の1950年代の商標です。(出典:エスエス製薬「ピョンちゃんのあゆみ」

「今ヤ」は、今屋紙店が出した七夕飾りでしょう。建物は写っていませんが、ストリートビューで確認できます。

撮影位置をを小川町七夕の中心近くと想定し、看板を手がかりに商店の並びから導き出した結論が、今屋紙店前から東(小川駅入口交差点)方向を撮影した写真、ということです。今屋紙店は現存(2018時点)していますので、この写真に建物が写っていればもっと簡単にわかったかもしれません。(2018/10/30公開)

電球を仕込んだ飾り付け

飾りに不自然に太いひもが付いているのが確認できます。恐らく電気のコード、飾りの形からも電球が入っていそうに思えます。(色はイメージです。)

一見、店名だけの素っ気ない飾りのように見えますが、よく見ると竹竿部分にコードをからませているのがわかります。吊り下げた電球照明に和紙で飾り付けをしたた、そんな形をに思えてきます。(色はイメージです。)

戦争が終わって9年経ち、小川町の七夕も回を重ねて5年目、手の込んだ飾り付けや電球による照明の仕掛けなど、バイタリティが感じられる七夕風景です。人々の姿にも心なしか明るさが感じらます。まだまだ物が豊富にあるとはいいがたい時代ですが、心の豊かさは今(2018年時点)より上だったかもしれません。日が暮れて、商店の店先が電球で照らし出され、七夕飾りが光り出す、そんな光景を想像しながら、もう一度最初の写真をご覧ください。(2018/11/04加筆)

■参考サイト

小川町七夕まつり公式サイト

小川町観光協会(四季・お祭り-夏-小川町七夕まつり)

小川町(観光・イベント-観光・特産-地場産業・特産物-小川和紙について)

エスエス製薬(企業情報-250余年のあゆみ-ピョンちゃんのあゆみ)

今屋紙店(店舗外観)