鎌北湖
人造湖18年目の賑わい (1953年)
(2018/10/08公開 2019/06/15加筆)
(2018/10/08公開 2019/06/15加筆)
※目印は撮影位置です
山間のどこかの湖の写真です。右上の特徴的な建物「用水管理棟」から、ここが毛呂山町の鎌北湖であることはすぐにわかりました。しかし、時代劇の扮装をしている人は何なのでしょうか。酒を飲んでいるみたいだし、オールが付いていないし…。よく見ると別のボートにロープでつながれ牽引されていることがわかります。用水管理棟近くにはやたら頭の大きな人がボートを漕いでいます。向こう岸は見物客が道いっぱいにあふれているし、ちょっとわからない写真です。
それはそれとして、どこから撮影した写真なのでしょうか? 一番近いと思われる位置がこのストリートビュー(2014年4月)です。でも何か違っています。この写真では、用水管理棟がもっと近いし、見物人を見上げているように見えます。ストリートビューよりは管理棟寄り、よりローアングルで撮影できる位置、つまり、こういうことです。湖水上から撮影した写真です。撮影者自身がボートに乗りボートの上から撮影したということです。
「鎌北湖は、農業用貯水池として昭和10年に完成した人造湖です。」(出典:毛呂山町「鎌北湖」)ボート上の扮装した人たち、道路を埋め尽くす観光客、完成から18年後、何が起きていたのでしょうか。(2019/06/15修正)
この写真と同じ日に撮影された映像が彩の国デジタルアーカイブの中で特別公開されています。「埼玉ニュースNo.19-2 秋をたずねて 大滝村 毛呂山町」(制作年:1953年)を再生してご確認ください。同日撮影写真4枚(狐と花嫁の仮装ボート、撮影会のモデル3人)と埼玉ニュースの映像に共通しているところがあります。
狐と花嫁が乗るボート(映像16秒あたり)
1人目のモデル女性(映像17秒あたり)
2人目のモデル女性(映像19秒あたり)
3人目のモデル女性(映像31秒あたり)
ボート上の花嫁の姿が写真と映像で一致しています。3人のモデル女性は服装がほぼ一致、3人目のモデル女性はポーズも似通っています。写真と映像は同じ日に撮影されたとみて間違いないでしょう。ニュースの中で「行楽の秋、カーニバルに打ち興ずる人々、モデルを追うアマチュアカメラマンの張り切り方を御覧ください」と紹介されています。鎌北湖で催されたイベントのようですが、ボート上の仮装行列(?)についての記載のある文献等はみつかりませんでした。ただし、他にも仮装と思われる写真が何枚か残っています。後日紹介したいと思います。(2019/06/15加筆)