ひがきホテル

【推測】水上ひがきホテルの客室(1954年頃)

(2018/12/18公開)

※目印は撮影位置です

1954(昭和29)年頃のとある温泉地の旅館(ホテル)でのスナップ写真です。浴衣を着て室外の岩場でくつろぐ人物。よく見ると靴下を履いたまま下駄を履き、浴衣の下に長袖の下着を身につけています。岩場を水が流れていますが湯気が立っている様子はありません。おそらくただの流水でしょう。寒さが身にしみる季節であることは容易に想像できます。エアコンはまだ普及しておらず(あったとしても冷房のみ)、暖房はよくてストーブの時代です。ゆっくりと温泉に浸かり体を温めはしたのでしょうが、就寝時の暖房は何かあったのでしょうか? 湯たんぽか懐炉、せいぜいそんなところだったように思えます。撮影者は同じ日(または前日か翌日)に建設中の須田貝ダムをカメラに収めています。行程を考えるとその近辺の温泉地であることは予測できます。しかし、旅館名までは特定できませんでした。あえて「ひがきホテル」と推測したのには、それなりの裏付けがあるからです。

ひがきホテルと推測する3つの理由

(1)ひがきホテルの包装紙

撮影者一行が宝川温泉汪泉閣(サイト内リンク)を訪れたときに手にしていた包装紙です。それを持っている人は限られます。

(2)右背景に写り込んだ建物

ストリートビューのここ(2018年8月)(反対方向からの撮影)でよく似た建物があることが確認できます。側面の2つの窓と配管らしきもの、電柱の配置が一致しています。

(3)1977年の空中写真

国土地理院の空中写真(1977年8月7日撮影)から該当部分を切り抜き、写真撮影方向を追加(筆者加工)したものです。矢印起点が客室の庭あたり、矢印左の影が大きく出ている建物がひがきホテルです。

以上により、写真の客室は当時の「ひがきホテル」である可能性が高いと思われます。ちなみに奥の建物、ストリートビューのこの建物(2018年8月)は(2)写真中央奥の建物と同一かどうかは微妙です。また背景の山並みのストリートビューの背景の山並み(2018年8月)(同方向、撮影位置は異なる)が背景遠方に映り込むことは不自然ではないことがわかります。写真の客室はその後の改装等により当時の面影は残っていません。なお、ひがきホテル(みなかみ町)は2016年に経営破綻、2018年時点では、BBHホテルグループの「ホテル一葉亭」となっています。(2018/12/18公開)

■参考サイト

国土地理院(地図・空中写真・地理調査-地図・空中写真閲覧サービス-地名又は経緯度検索-地名又は施設名検索-「みなかみ町湯原」で検索)

トラベルボイス 観光産業ニュース(「ひがきホテル」で検索)

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