華厳の滝

一行（写真の3人）が中禅寺湖（参照:当サイト内中禅寺湖畔）を訪れたのが1942（昭和17）年10月17日、この写真はそれと同時期の撮影です。背景は日光華厳の滝、柵が時代を感じさせますが滝はあまり変わっていないように見えます。ところが現在（2018年）と大きく異なる点がこの写真にはっきりと写っているのです。落下する滝付近の岩肌に着目願います。滝口（滝の落下開始地点）のやや下に横に広がる大きな影が見えます。これは岩盤の影です。その右側の縦長の影、これは滝自体の影です。滝の影を追っていくと、滝と平行していた影が途中で角度を変え斜め前に出てきて滝本体と同化していく様子が見て取れます。つまり、滝のある岩盤が、滝口の少し下で大きくえぐれていたことを示しています。1985（昭和60）年、華厳の滝は、この写真の岩盤（滝口近く）が大きく崩落し、その姿を変えることになります。ストリートビューのこちら（2016年8月」）でご確認ください。写真の滝右側の岩盤が無くなっていることがお解りいただけると思います。中禅寺湖に貯めた水を97ｍ落下させる日光華厳の滝は、「浸食によって現在でも中禅寺湖（ちゅうぜんじこ）の方向へ徐々に後退をしている」（引用:とちぎふるさと学習 河川の作用による地形 華厳の滝（けごんのたき））そうです。遠い未来には中禅寺湖まで後退し華厳の滝は消滅することになるのかもしれません。（2018/12/08公開）