大涌谷からの富士山
今と変わらぬ富士の姿(1960年以前)
(2018/10/04公開 )
(2018/10/04公開 )
※目印は撮影位置です
間違いなく富士山の写真です。問題はどの方向からの撮影したものか? ということです。手前の山容は静岡側ではなさそうです。それでは山梨側かとあたりを付け探してみると、ほどなく大涌谷方面から見た富士山であることがわかりました。箱根町のホームページに「大涌谷からの富士山」として、ほぼ同じ構図で同じ残雪の富士山の写真が掲載されています。山梨ではなく神奈川からの撮影でした。大涌谷駐車場のストリートビュー(2018年5月)と富士山と手前の山の稜線の位置関係がほぼ同じです。ところがこの写真には「あるはずのもの」が写っていません。
実は、同じ日に撮影された富士山の写真がもう1枚あります。4人の人物写真の背景にうっすらと富士山が見えています。写真は濃淡を調節し見やすくしてみました。富士山と手前の山の稜線の位置関係が同じであることがおわかりいただけると思います。
最初の写真に写っていないもの、それはロープウェイです。箱根ロープウェイが全線開通(大涌谷駅~桃源台駅間開通)したのは1960年(出典:箱根ロープウェイをもっと知ろう!)です。背広にネクタイ、革靴の男たちが歩いて観光に訪れたとは思えませんが、バスという手段もあります。もう1枚気になる写真を見つけました。「大涌谷からの富士 今昔」(富士みずほ通信)に同じような画角の写真が紹介されています。しかも、古写真の方にはバスも写っています。当写真の撮影時期は箱根ロープウェイ全線開通より前、1960年以前の可能性が極めて高いということです。写真右下にわずかに写っている水面が貯水池の一部だとすると、撮影位置は大涌谷駐車場北側道路あたりということになります。(2018/10/04公開)