城ヶ島灯台の眺望
城ヶ島大橋は架設途中(1958年頃)
(2018/10/02公開 2018/10/07加筆)
(2018/10/02公開 2018/10/07加筆)
※目印は撮影位置です
手前の陸地と向こう岸の陸地の間に大きな川があるように見えます。右上に橋が見えます。よく見ると橋は架設工事中のようで途中から橋桁だけが立っています。写真はやや高い位置から見下ろしており、すぐ近くの建物の屋根が見えています。右側手前には手摺りがあり、弧を描いています。高い位置にあって、丸く手摺りが設置されている場所、何らかの展望施設の可能性が高いと思われます。城ヶ島灯台公園からのストリートビュー(2014年2月)をご確認ください。橋の位置、手前と向こう側の陸地の位置関係がよく似ています。何より完成した後の橋の先に見える丘陵の稜線、2つの山が並んでいるところもそっくりです。ただ、残念なことに陸地と陸地の間にある大きな川(正しくは海ですが)は確認できません。なぜなら、写真の方はもう少し高い位置から撮影されたものだからです。そう、城ヶ島灯台に登って丸い手摺りのところで撮影すれば、海がはっきり写るはずです。さて、城ヶ島大橋は、「1957(昭和32)年4月17日起工、1960(昭和35)年4月に完成」(出典:神奈川県 城ヶ島大橋について)ですので、橋が架設途中、1958年頃の撮影としました。なお、灯台の一般公開日は特別なイベント等に限られているようです。(2018/10/02公開)
灯台を背景に撮影者一行は記念撮影をしています。この写真は、灯台部分をトリミングし、最下部に修正(色ムラ部分)を加えています。
もう1枚、同じ方角を撮影した写真が残っています。対岸の陸地も間の海もほぼ同じ、手前側の家と灯台の手摺りはフレームから外れています。なぜ、同じような写真を続けて撮ったのでしょうか?
昭和33年、その頃は誰もがカメラを持ってはいませんでした。しかも、ブローニーという幅広フィルムを使用する中判カメラが多かった時代です。操作も複雑で気軽に写真撮影できる状況ではなかったと思ってください。撮影はあくまでも人物が中心で、風景を単独で撮った写真は多く残っていませんは。人物の入らない風景に向けてシャターを切るには、それなりの強い「思い」があったはずです。例えば、目の前に広がる富士山、満開の桜並木、雄大な景色や奇観に対してであればシャターを切る気になるかもしれません。しかし、城ヶ島灯台の眺めがいいのは確かですが、特別なものとまでは言えないと思います。しかも、同じ方向に2回続けてシャターは切らないでしょう。そう、撮影者が見ていたのは、「架設途中の城ヶ島大橋」だったと推測されます。いざ、現像してみると、思ったより平凡な出来と感じられ、ネガは長い眠りにつくことになりました(想像ですが)。 灯台の手摺りの一部をフレームに入れ、架設途中の橋を狙った写真は「なかなかのもの」と、私は思います。(2018/10/07加筆)