高気圧が到来した天気の良い夜は放射冷却により温度が下がります。天気予報などの気温は地上1.5㍍の高さの温度ですが、放射冷却により地表の方が冷えます。また地面の水分が蒸散することにより、更に温度が下がります。
お茶の葉は生き物ですから季節や一日の時間帯による変動はあるものの常に蒸散作用を行っています。蒸散とともに気化熱を奪われるため葉の表面は更に温度が下がります。この差が6℃という記述がありました。
上記の事象を裏返すと上空の温度が少し高い理由となります。
防霜ファンは温度センサーにより稼働することで上方の暖かい空気を下へ送るとともに風を起こし降霜を防止する役割を果たします。
電磁波 すべての物体(太陽や地球を含む)はその表面温度に応じた電磁波を出しています。
太陽放射 太陽が出している電磁波を太陽放射といいます。
地球放射 地球が出している電磁波を地球放射といいます。
生活圏の決定要素 生活圏の気温は太陽放射と地球放射のバランスで決定されます。(その他の要素は多々ありと思いますが・・・)
太陽放射エネルギーの入射量 太陽放射エネルギーの入射量は入射角度に比例しています。太陽が真上に来る、一日でいえば日中、年間でいえば夏頃が大きくなります。また雲等があれば地表へ到達する量は少なくなります。
地球放射の量 太陽と同様に地球も放射していますが、厚い雲に覆われている等の理由で放射量が減少することがあります。
放射冷却 夜は太陽放射エネルギーの入射が無く、地球放射は行われています。それに伴い地表の温度は順次低下します。よく晴れた夜はさえぎる雲もないため放射冷却が進みます。気温は夜中低下が進み日の出前が一番低くなります。
蒸発する時水の相変化と熱量 水も温度によって氷になったり液体になったり水蒸気になったりします。個体、液体、気体と姿を変えることを相変化といいます。水から気体に変化することを蒸発といいます。1グラムの水が0℃で蒸発する時約600カロリーの蒸発熱を必要とします。個体から気体に変化することを昇華といいます。1グラムの氷が0℃で蒸発する時約680カロリーの昇華熱を必要とします。
放射冷却 夜は太陽放射エネルギーの入射が無く、地球放射は行われています。それに伴い地表の温度は順次低下します。よく晴れた夜はさえぎる雲もないため放射冷却が進みます。気温は夜中低下が進み日の出前が一番低くなります。
放射冷却による降霜 1.5m高度で露点温度が0℃以下、気温が3℃以下になると地表面や植物の葉面の温度が放射冷却や蒸散作用も加わって気温より6℃も下がることがある。このため、葉面や地表面で凝結過程を経て水滴を形成し、さらに水滴が凍結して氷の結晶である霜が出来る。※1 p29 より引用
茶園における蒸発散量の日変化 茶樹の蒸発散量は日の出時から増加を始め、季節によって多少異なるが、おおむね9時から16時まできわめて多く、以後日没時まで漸減し、夜間は極めて少量である。※2 p110 より引用
茶園における蒸発散量の季節変化 日中の茶樹の蒸発散量は季節によってきわめて顕著に異なり、8月中~下旬が最も多く、1月下旬が最も少ない。
※2 p110 より引用
1971年10月31日の日変化資料では朝6時の蒸散量は0.001mm/分 1971年の季節変化資料では 4月2.8mm/日 5月3.7mm/日 (グラフを目で追った値です)とこの時期でも、それぞれ少量ではあるが蒸散されているようです。
春先の天候 春先には、大陸の寒冷な高気圧が移動性となり、3~4日に一度は日本列島を通過します。凍霜害が発生しやすいのはこの時期で、夜間に良く晴れて雲がなく、風が弱くて夕方の湿度が比較的低い時期は要注意です。※3 p97より引用
※1 トコトンやさしい気象の本 入田 央 B&Tブックス 日刊工業新聞社
※2 茶の栽培と利用加工 岩浅 潔 編著 株式会社 養賢堂
※3 日本茶のすべてがわかる本 農文協