飲料水の質の違いのために、フランスや英国では、ミネラル・ウォーターを飲むことが少なくない。それは単に一般の水道水にミネラル分(鉱物分)が多量に含有されていて、飲んだ味がよくないということもある。※1
水質については、日本の水は所謂軟水、そしてヨーロッパの水は硬水と呼ばれる。この水質の違いは、水の中に含まれるカルシュウム(Ca)トマグネシウム(Mg)の合計量で決まり、数値の低いものを軟水(soft water)、高いものを硬水(hard water)と呼ぶ。水源での水がミネラル分を多く含めば、その水源を使って上水道で供給される水もそのままミネラル分の高いものとなる。通常はこの二つの鉱物イオンの量を炭酸カルシュウムに換算して、1リットル中に200ミリグラム(mg)以上含まれるものが硬水で、100ミリグラム以下のものが軟水と呼ばれる。※1
欧州や中国の大部分は一般的に硬水が多く、それに適した蒸し料理や油炒め料理、長時間煮込む料理が発達し、ワインやビールのような飲料が生水に代わって飲まれる傾向が生まれた。日本や米国は一般に軟水が多く、日本では「うまみ」を引き出した料理や緑茶が発達し、アメリカではアラビヤから欧州経由でやってきたコーヒーが、その水質がよいために本来の味をうまく引き出せるために薄くなったと言われている。アメリカン・コーヒーを、単にアメリカ西部開拓時代に物資が不足していたために、薄めになったと思っていた人たちの思わぬ勘違いに水が関与していたのである。※1
※1 語文化論集ⅩⅩⅩⅧ巻 第1号 水と清潔ー水野比較文化史序説(続)福田眞人 p124
「海外で日本製の飲み物を買いだめする」という方法もありますが、現地の日本製品は関税や輸送費用の分だけ高くなり、経済的ではありません。そこでおすすめしたいのが、日本からペットボトルの水とスポーツ飲料の粉末やティーバッグなどを持ち込み、現地のミネラルウォーターと混ぜること。硬水の独特な口当たりも、お茶やジュースにしてしまえば気にならないでしょう。※2
※2 https://www.mobile.jalabc.com/media/information/drinking-water
水が合わないと海外旅行は大変!飲料水を持って行くときの注意点 JALABCサイト
なぜ海外のミネラルウォーターには硬水が多いのかというと、採水される土地環境に理由があります。
北米やヨーロッパなどは、広大な面積を有していますよね。そのため雪や雨によって地下水となった水は、広い大地をゆっくりと流れていきます。となると地層に浸透している時間も長くなり、地層に存在するマグネシウムやカルシウムなどのミネラルが、徐々に地下水に溶け込んでいきます。
ミネラルが多いほど硬度が高くなるので、くみ上げられる頃には、硬水へと変化しているのです。海外のミネラルウォーターに二酸化炭素が含まれているものが存在するのも、このように地形が地下水に影響を与えていることが理由です。
日本は国土が狭いせいで、地下水が地層に浸透している時間が長くありません。その分水に溶け込むミネラルも少ないため、硬水よりも軟水が採水される割合が高いというわけですね。※3
※3 海外のミネラルウォーターには硬水が多いのはなぜ?
https://incorporationlive.com/column/mineral-water/overseas-mineral-water-is-hard-water/
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