対話性幻聴

Dialogstimmen, dialogisierende Stimmen(D)

シュナイダーの1級症状に挙げられる,話しかけと応答の形の幻聴(Stimmenhören in Form von Rede und Gegenrede)のことを日本では対話性幻聴という簡潔な言葉で呼ぶが,これに対応するのは上記のドイツ語の術語しかないようである。話しかけと応答の形の幻聴はSchneider,K.の記述をみるかぎり,2人かそれ以上の第三者が患者について語っている幻聴と考えられるが,日本の統合失調症症例では,幻聴と患者が対話している症状が観察されることが多く,これを対話性幻聴と呼ぶ場合がある。つまり対話性幻聴というと,2人ないしそれ以上の幻声が対話している幻聴の場合と,幻声と患者が対話している場合の双方があり得,Schneiderの原典に帰ると前者といえるが,後者として使われることが実際は多いといえる。

(小林聡幸)