(1)突 出(つきだし)
正面に向かって、取は右、受は左に約1.8メートル(約1間)の距離に相対し、それぞれ自然本体で立つ。
受は、右手の指を揃えて伸ばし、右腕をまっすぐに伸ばして、およそ3歩目に取の烏兎(眉間)に当たるように少しずつ挙げながら、右足から継ぎ足で進む。
取は最初に顔を右に向け、右足を退き、体を右に開いてこれを避け、右手の四指を上にして、受の右手首を握って受を引き出し(このとき、取は、受を継ぎ足で進ませ、取の右足の前に受の右足、取の左足の前に受の左足があり、取の前面と受の背面が重なるようにする)、左手で受の左手首を、拇指(親指)を上にして握り、右手を右方斜め上に、左手を左方斜め下に引き伸ばし、体を反らして受をその後方へ制する。
受は、取に取られた両手を外すために、左肩を下げ、右肩を少し前に出し、体を左へ捻りながら左足を右足近くによせ、左手で取の左手首を(拇指が上)握り返し、
さらに右足を元の左足の位置に移し、右手で取の右手首を(拇指が上)それぞれ握り返しながら、体を相手の方へ向きかえる(正面を背)。このとき取は、受に順応して体を右に捻りながら、左足を右足近くによせ、右足を元の左足の位置に移す。さらに受は、胸腹部と取の背部と重なるように密着させ、取の左手を左方斜め上へ(受の拇指が上)、右手を右斜め下へ(受の拇指が上)それぞれ引き伸ばし、体を反らして取をその後方へ制する。
取は、右肩を下げ、左肩を少し前に出し、体を右に捻りながら右足を左足近くによせ、前の要領で両手をそれぞれ握り返しながら体を相手の方へ向きかえ(このとき、受は、取に順応して体を左に捻り、右足を左足近くによせ、左足を元の右足の位置に移して正面を向く)、前のように体を密着させ、受の右手を右方斜め上へ(取の拇指が上)、左手を左方斜め下へ(取の拇指が上)それぞれ引き伸ばし、体を反らして受をその後方へ制する。
取は、左手で受の左腕をその体側につけ、右手を肩の上に挙げて両手で受を制し、左手を受の左腕にそって摺り上げ、四指を上にして左肩を軽く抑え、右手で受の右手を上方へ引き伸ばし、右足から1歩さがって自然本体の形になり、受をさらに後方へ崩して制する。
受は、左手で「参り」の合図をする。
「参り」の合図は、柔の形では1回だけ手を打つか、またはどちらかの足をわずかに後ろに退く。
取は、左足から1歩前に出て自然本体になるとともに、受の右手を下ろし、受の体を自然本体にもどす。