地質観光マップのQRコード 解説ページ一覧 > 袋田の滝 >そば通り
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茨城県大子一帯は良質なそばの産地として有名です。茨城県のそば栽培の記録には、かの水戸光圀公の命により、西茨城郡北川根村姉橋(現・「友部町)に信濃から種を移入して作付けしたのがはじめとされています。これが今日の基礎を培い、「久慈そば」、「水府そば」として好評を博しています。
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では、なぜ久慈そばはこんなにもおいしく、長い間多くの人に食べられてきたのでしょうか?それを考えるためにはまず植物としてのそばを論じなければなりません。
<そばってどんな植物?>
ソバはタデ科の一年草で、日本のみならず、アジア内陸地帯、東欧、中欧、北欧、南欧山岳地帯、南北アメリカ他で栽培され、食用とされています。非常に成長が早く育てやすい植物で、うまく育てれば一年に二度も収穫できるほどです。その原産地は諸説あるようですが、中国雲南省周辺という説が有力なようです。そしてなにより、おいしい! そばの実は何と縄文時代の遺跡からも出土しています。人類とそばの歴史ってこんなにも古いんですね。
<そばと気候・土壌の関係>
そばは非常に育てやすいと書きましたが、それにはいくつかの理由があります。①発芽する気温が0~40℃と幅広いこと、②痩せた土地でも実がなること、等がそれです。ところで、そばの原産地は中国雲南省であるとされると書きましたが、雲南省は昼夜の気温差が激しいところです。そばはこのような寒暖差によって良質のタンパク質を作ります。それがそばの香り、味を一層引き立てるのです。
また、そばは非常に吸肥力の強い植物です。吸肥力とは字の通り、地面から栄養を吸い上げ力のことです。栄養が豊富にある土地ではそばが繁茂しすぎてしまい、栽培には向きません。そのため、日本では比較的痩せた土地で栽培されることが多いようです。
<なぜ大子でそばがおいしい?>
これまでそばの性質を論じてきましたが、大子ではなぜおいしいそばがとれるのでしょうか。それは大子の気温、土壌の性質と深く関係があります。実は、大子の気温と雲南省の気温データはよく似ています。大子も雲南省も、10度以上も気温差がある日が続くことがあります。前述のとおり、この寒暖差はそばの味を大きく左右します。このため、大子のそばの素晴らしい風味が生まれたのです。
また、土壌との関係ですが、大子地域には広く凝灰質の砂岩が露出しています。本来、凝灰質の土壌は栄養に乏しく作物の栽培にはあまり適しませんが、そばは吸肥力が強いため、凝灰質の土壌の方がそばには適しています。また、この土壌は水はけもいいため、やはりそばに最適な土地であったと言えるでしょう。