地質観光マップのQRコード 解説ページ一覧平磯海岸③およそ12.5万年前の海岸の痕跡:見和層

③およそ12.5万年前の海岸の痕跡:見和層

現在は、ポイント③で見られる地層より十数メートル下にあります。なぜ、砂浜の堆積物が現在の海岸よりずっと高いところにあるのでしょうか?

実は、今から約12.5万年前、海面は今よりずっと高い場所にあったのです。

上の図を見てください。この時代、茨城県の中央〜南部は広い範囲で浅い海が広がっていました。霞ヶ浦の崎浜ではカキ化石床(マガキが住んでいた痕跡)も見つかっています(地質観光まっぷ②霞ヶ浦に載っています)。当時、地球全体が暖かく、世界的に海面が上昇していたと考えられるのです。その後、地球が寒くなり海面が下がった結果、砂浜の堆積物が今よりずっと高いところに取り残されました。

さて、頭をやわらかくしてください。

ポイント②で見た白亜紀の地層は北に傾いていました。一方で、ここで見られる見和層は傾いていません。ではその間はどうなっているのでしょうか?

下の図は、下の白亜紀層と上の見和層の関係を表した模式図です。白亜紀層は長い年月の中で傾き、削られます(まっぷ裏面「平磯海岸の成り立ち」参照)。その後、その上に堆積物がたまると、地層の向きが異なる地層が出来上がります。このような地層の関係を「傾斜不整合」と言います。不整合は、形成した年代が違う地層が接するときしばしば見られます。その間には、失われたとてつもなく長い時間が存在するのです。