①龍馬の滝

(りゅうめのたき)

<龍馬の滝の伝説>

伝説①

那須与一という人を知っていますか?

那須与一は下野の国(現在の栃木県)出身の源氏方の武士で、平家との合戦のときに、舟の上の揺れる扇の的を射抜いたことで有名です。那須与一の愛馬は鵜黒(うぐろ)という名前でした。

龍馬の滝には、この馬にまつわる伝説があります。ここ新田地区の民家で鵜黒は生まれ、源平の合戦が終わった後、龍馬の滝に住んでいました.そのうち、「滝の中ばかりにいては世間のことが分からなくなる!世の中を見てこよう。」と思いたって水戸に向かって出かけたのです。ところが舟生の辺りまで行ったところで、体の具合が悪くなり、戻ってくる途中、袋田の辺りで死んでしまったと言い伝えられています。


伝説②

伝説①とは全く異なる伝説がもう1つ。それはこんなお話です。

昔、この滝には一頭の雌馬が住んでいました。そこへ一羽の鵜が毎日遊びに来ていたのですが、そのうちこの雌馬が身ごもり、生まれたのが鵜黒であるというのです。鵜黒には一羽の鵜鳥がいつも付き添っていました。源平の合戦が終わって、与一が鵜黒に乗って戻ってくる途中、久慈川沿いに上小川の辺りまで来ると、急に鵜黒が倒れて死んでしまったそうです。すると、それまで一緒についてきた鵜黒は向きを変えて元来たへ飛び去ってしまったということです。


龍馬の滝に関する2つの伝説の主人公は「うぐろ」という一頭の馬です。八溝山のある大子町はかつて保内馬産地として知られていました。この地区にも名馬の産出が多く、うぐろの伝説が作られたと考えられます。