今でも「コウシンさま」。「コウシンさん」と呼ばれて庚申(こうしん)信仰が地域に根付いている。庚申信仰は、中国の道教の教えが基本にあるという。
庚申の夜寝ると人の体の中にいる三尸(さんし)の虫が体から這い出て、人の寿命を司る天帝にその人の罪や悪行を告げ、命を縮めると言われるので、庚申の夜は眠らずに言行を慎み、健康や長寿を祈願するようになったと言う。
紹介するこの塔は、中篠井寺前(東海寺)停留所のたもとの、生垣で囲まれた石仏群の中にある。高さ2mに及ぶ塔には、 一面六臀(顔が一つで手が六つ)の青面金剛(庚申信仰の守り本尊とされている)の像があり、その頭上には太陽と月、足元には三猿神(口と耳と目をかくした三匹の猿)、さらにその下には二羽の鶏が向かい合って刻まれている。
左側面には「正徳二壬申二月吉日 施主 田崎左兵衛 阿久津久右工門」(1712年)の印刻があり290年の永きにわたって信仰のシンボルとなってきた。