各地に残る月待ちに係る碑塔で、十九夜塔に次いで多いのが二十三夜供養塔である。ここで紹介する鉦(下小池町阿久津秀雄氏所蔵)は、二十三夜(満月を中心として月の形がちょうど半分の頃)講の際に使用されたものだろう。
上面径41cm、幅10cm(平成5年に「宇都宮の金属工芸」調査では最大)で、吊り手によって下げた状態で、片面を打ち鳴らすようになっている。
鉦には「宇都宮 戸室将監作 野州河内郡下小池村二十三夜念仏供養施主二十三人 願主堪誉林清 宝暦七年(一七五七年)丁丑十一月吉日」の銘がある。「戸室将監(とむろしょうけん)」は、宇都宮藩御用鋳物師で鉄砲町(現馬場通り一丁目)に住み、大砲、鐘、燈籠(現在、大谷寺や清厳寺等に作品が残っている)等を製作していた。
作品の分布を見ると、宇都宮を中心に下野の東半分を戸室一門が、西半分を佐野天明一門が縄張りとしていたようだ。
鉦が物語るように、二十三夜に地域周辺の人々が集まり、安産祈願、不浄の清め、時には虫送りに念仏が唱えられ、災害を引きおこす御霊往生の願いを込めて鉦が打ち鳴らされたのだろう。