新渡神社の拝殿内に、大杉ばやしの御神興が祭られている。古老の話によると、昭和初期まで天狗の面を被った者が先導し、各戸を巡ったという。
天狗は各家に上がり「阿婆大杉大明神悪魔を払ってえんやらや」と大声で怒鳴り、悪病退散を祈ったと言う。
「阿婆とは、常陸国桜川村阿婆(現在の茨城県稲敷市)にある大杉神社の祭神のことである。かつてこの神社の分霊が祭られたとき、地名の阿婆が変化して「アンバ」になったと言われている。
「アンバ様」の信仰は、千葉、茨城、福島、宮城、岩手などの太平洋沿岸の漁村に多く見られることから漁業との係わりのある信仰と考えられる。
現在でも、春の訪れとともに鹿沼市板荷地区のアンバ様が大活躍している様子が新聞で紹介される。
「しのいの史跡」(篠井公民館昭和五十二年)によると岡坪地内の高龗(たかお)神社境内にも大杉様が祭られている。