痛風
高尿酸血症
高尿酸血症
痛風と偽痛風は、どちらも関節に異物がたまり、それがあるとき異物反応を起こすことによって起こります。
痛風では、結晶となった尿酸が悪さをします。
高尿酸血症の推定患者数は1,000万人超います。
どんな症状が起きますか?
なぜ痛風が足の親指に出るか
•尿酸は低温で結晶化しやすいため、足の親指、足首など低温に晒されやすい部位に多発します。
ただし、痛風発作が多いのは冬ではなく、脱水で血液が濃縮され結晶ができやすい夏です。
尿酸?プリン体って何ですか?
プリン体が分解された物が尿酸です。主に肝臓で行われます。
尿酸の元になるプリン体の,
70-80%は自分自身の代謝から、残りが食物から
供給されています。
尿酸は1日700mg産生され、
500mgは尿として
200mgは腸から
排泄されてバランスを保っています。
体内に貯蔵されている尿酸は1200mg(健康成人男性)です。
痛風が治った後も、尿酸値を下げる治療を行う意義は何ですか?
痛風以外のリスクも明確に詳しく見る ▶
•30~40歳代男性の3割が高尿酸血症1)
•痛風患者さんの37%はメタボリックシンドローム1)
•尿酸値が高いと痛風発作の起きやすくなる。尿酸値6mg/dL未満に比べて、尿酸値9mg/dL台だと40倍、尿酸値10mg/dL以上だと60倍1)
高尿酸血症/痛風はCKDの原因になりやすく、かつ、CKDのために高尿酸血症/痛風になりやすくなります。
肥満症やメタボリックシンドロームは、高尿酸血症/痛風の原因になりやすい病気です。
これらの病気は高尿酸血症/痛風の患者さんが併発しやすく、また併発した場合は、心臓や脳の血管の病気、腎臓の病気などの合併症が起こりやすくなります。
診断は?
痛風関節炎 アメリカリウマチ学会の分類基準 (1977年基準)を示します。
a).尿酸塩結晶が関節液中に存在すること
b).痛風結節の証明
c).以下の項目のうち6項目以上を満たすこと
1.2回以上の急性関節炎の既往がある
24時間以内に炎症がピークに達する
単関節炎である
関節の発赤がある
第一MTP関節の疼痛または腫脹がある
片側の第1中足趾節関節の病変である
片側の足根関節の病変である
痛風結節がある
血清尿酸値の上昇がある
X線上の非対称性腫脹がある
発作の完全な寛解がある
アメリカリウマチ学会
STEP① 診断基準の適応
少なくとも1つ以上の関節/滑液包の腫脹、疼痛がある場合にこの診断基準は適応される
STEP②結晶の検出
症状のある部位からの検体で尿酸ナトリウム結晶が同定されれば痛風と診断される
満たさなければ、STEP③へ
STEP③スコアリング
8点以上で痛風の確率が高い(感度92%, 特異度89%)
臨床
部位、
関節を超える発赤
痛くて触れない
痛くて活動制限あり
痛みが24時間以内に最大となる、かつ14日間以内に改善
かつ間欠期には症状は完全消失
検査
血清尿酸値
関節液、滑液の検査
画像
症状のある部位のエコー
dual-energy CT
レントゲン
外反母趾
関節リウマチ(パンヌス)
偽痛風
蜂窩織炎
この病気の難しいところは何ですか?
最初に受けるべき治療は?
尿酸の薬は
・尿酸排泄促進薬
(ベンズブロマロン、プロベネシド、ドチヌラド)
※ドチヌラドは選択的再吸収阻害薬ともいわれる
・尿酸生成抑制薬
(アロプリノール、フェブキソスタット、トピロキソスタット)
・アルカリ化薬 ※尿酸値は下げませんが、尿酸の結晶化を防ぎます
(クエン酸カルシウム)
に分けられます。
高尿酸血症の約60%は尿中尿酸の排泄が低下しているタイプです。
高尿酸血症の約10%は尿酸の生成が過剰になっているタイプです。
25%が混合型です。
どのタイプの薬が自分に合っているか、尿中尿酸を測定することで推測できます。
腎臓が悪い人は尿酸生成抑制薬を使用します。
療養上、気をつけるべきことはありますか?
(食事、栄養、運動)
•プリン体摂取を控えましょう
(動物や魚の内臓、肉類、あん肝、レバー、モツ、白子、牛肉ヒレ、ロース、いわし、えび、かにみそなど、主に動物性食品、肉や魚の茹で汁、煮汁、だし汁、アルコ-ル飲料)
•尿酸の排泄が悪くなるものをとらないようにしましょう
(油を多く使用する料理は少なめにし、使う場合は動物性より植物性の油を使用する)
•体内での尿酸合成を増やすものを控えましょう
(砂糖。果物も取りすぎは×。肥満により尿酸ができやすくなるのでカロリー控えて)
•尿酸が排泄しやすい体にしましょう
(野菜、果物、いも類、水やお茶を多く飲む)
プリン体を尿酸へ代謝する酵素が脂肪細胞に多く発現しているため、肥満やメタボリックシンドロームの方は高尿酸血症・痛風になりやすいと言われています。
経過をみていくための検査と薬の継続は?
血液検査。尿酸値6mg/dL以下を目指します。
治るの?再発したら?薬は止められる?
診断基準にもある通り、発作的におきた関節炎は比較的すみやかに消退します。
原因となる高尿酸血症の状態が続いていれば、痛風発作は再発します。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
病気の理解を通じて、安全・安心の治療を進めていきましょう。
不明な点は、主治医とよく相談しましょう。
記事作成 2022年3月日 深谷進司
参考文献
1) 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン改訂第3版 (日本痛風・尿酸核酸学会)
2) 日本痛風・尿酸核酸学会
3) Minds ガイドラインライブラリhttps://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0052/G0000210/0025/0031