レントゲンは骨の状態を知るのに欠かせません。
「リウマチの初期かも」の記事にも書きましたが、現在の関節リウマチの診断にはレントゲンは評価項目には入っていません。初診の時にレントゲンをとるのは、変形性関節症や石灰沈着などほかの疾患との区別のためと、初診時までに関節破壊が現れていないが、またその後の進行がないか見ていくための出発点として、レントゲンを撮っておきます。
リウマチの初期にはほとんど異常はみられませんが、炎症が続くとまず骨粗鬆症の様に骨が薄くなり(Stage 1)、進行すると軟骨が減るため骨と骨の隙間が狭くなり(Stage 2)、さらに関節周囲の骨が虫食いの様に削れてしまいます。骨の並びが乱れて(Stage 3)、最後は骨同士が一塊の様にくっついてしまいます(Stage 4)。
特に骨の浸食(骨びらんといいます)は関節の中からではなく、関節の袋が付着する辺縁の部分から始まります(下の写真)。
骨の変化は10~20年の長い変化で起こると考えられていましたが、実は発症早期の2年程度が最も進行が速いことがわかってきました。この2年間のことを治療機会の窓(Window of opportunity)といいます。
一度変形してしまうと薬物療法で元に戻すのはほとんど不可能なため、早いうちから進行を抑えるような治療をしていくことが重要です。
もちろん、すでに変形が現れているからといって手遅れということはなく、むしろそのような方はそのままにしているとそれ以上の関節破壊進行が起きやすいですから、進行を防ぐために治療していくことが重要です。
記事作成・更新 2022年3月26日 深谷進司