リンヴォック
(一般名;ウパダシチニブ)
(一般名;ウパダシチニブ)
リンヴォックは2020年に発売された、JAK阻害薬では4番目の内服薬です。
JAK阻害薬は炎症の信号を伝えるJAKという中継物質の働きを抑え、関節炎を改善させる働きがあります。JAKを経由する炎症の信号は複数あり、同時に多数の炎症の信号を抑えます。
JAK(ヤーヌスキナーゼ)の種類は4つあり、どのJAKを抑える働きが強いかによって、薬の効果や副作用の性質に違いが現れます。また、薬は肝臓で分解されるか、腎臓から尿中に排出されるかという点が大きく異なります。リンヴォックはJAK1とJAK2を抑える作用が強く、肝臓から排泄されます。肝硬変の方では排泄が遅れ、効きすぎて副作用のリスクが高まるため減量など考慮が必要です。重度の肝硬変では使用できません。
内服薬としてはとても関節炎を抑える効果が高く、生物学的製剤と比べても同等の効果が期待できます。TNF阻害薬のアダリムマブと比較した臨床試験がありますが、有効性、痛みの改善、生活の改善はアダリムマブよりも優れており、関節破壊はアダリムマブと同等でした(SELECT-COMPARE試験)。1日1回の内服となります。
また、JAK阻害薬はメトトレキサートとの併用がそれほど重要ではなく、①メトトレキサートと併用した方が効果は高いですが、併用しない場合との差は小さいです。つまり、単独でも高い効果を発揮できます。ただし学会としては安全性を担保するためにメトトレキサートが十分量使える患者さんに対して使用することを推奨しています。
JAK阻害薬全般に免疫抑制作用がありますが、生物学的製剤と比べて帯状疱疹がでやすいです。通常量のリンヴォックを100人が一年間使用した場合、7.5mgでは7.8人、15mgでは12.4人に帯状疱疹が起きました(日本人データ)。使用量が多い方が帯状疱疹が多くみられました。
リンヴォック(ウパダシチニブ)の費用と特徴のまとめ
4週分の値段は、1割負担で¥14,000、2割負担で¥28,000、3割負担で¥43,000
・高い効果。アダリムマブと比較して疾患活動性抑制、関節破壊抑制の効果が上回る。
・1日1回内服。
・肝機能が悪い時は減量が必要。高度の肝機能障害(重度肝硬変)の場合は使用不可。
・メトトレキサートを併用しなくても効果が高い(JAK阻害薬全般)。
・高額である(JAK阻害薬全般)。
・帯状疱疹が出やすくなる(JAK阻害薬全般)。
以上、参考となれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
2022年8月15日 深谷進司