かつてのStepManiaパッケージですが、オリジナル曲での歌モノの収録というのが難しいものがありました。
ヴォーカリストさんを見つけてきたり、最悪スタッフが歌唱し、録音環境などを整える、またはスタジオを借りればいいのですが、コスト面や求めるレベルの歌唱力があるのか、という諸々の問題を考えると、あまり現実的ではなかった……というのが、自分の考えです。
なお実際には「Everlasting Pain (J-EURO TRANCE REMIX)」のようになんとか頑張ってやってみたケースもありますし、BMS出身曲だと「Magical Love Words」のような歌モノの曲は収録しておりましたが。
そこで解決の糸口となりうるものが5th stageリリース後の、同人音楽CDを出すようになった頃に「VOCALOID 2 初音ミク」が発売されました。
IIDXでも使われたことがある「PRIMA」など、5th stageの制作中にはすでにVOCALOIDというものは存在していましたが、散々各方面からの評価として出てきている言説であるので、今更言うことではないのですが、初音ミクの凄いところは「歌手自体のキャラクター性」です。
機械音声なのが丸わかりでしたが、それこそが初音ミクという歌手のキャラクター性である、といっても過言ではないでしょう。
極論を言ってしまいますと「調教」がヘタでも「初音ミクが歌唱する歌モノ」、という価値が生まれるわけです。
もちろん我々もそんな初音ミクを用いてCDを制作しています。
「P.S.L. -Prismatic School Life-」という、いわゆるエロゲーの主題歌を初音ミクにカバーさせてRemixしたCDです。
こちらは20年近く経った現在でも在庫が多少あり(再生可能なのはチェック済みです)、現在BOOTHでの頒布を考えていますのでそのうち皆様にお届けできるかと思います。
そうしてVOCALOIDは進化していき、現在ではAIによる補正でベタ打ちでも充分な歌唱力を発揮する、調教の必要が全くないレベルとなりました。
そしてVOCALOIDだけではなく、SynthsizerVという対抗も出てきています。
SynthsizerVの魅力はリリースされたボイスバンクのバリエーションの豊富さでしょう。
初音ミクのようにキャラクター性を持たせつつ、様々な声優や歌手による声の違いを楽しめます。
中には5鍵――IIDXが付かない方のbeatmaniaにてラップを披露していたB.BANDJのボイスバンクなんかもあったりします。
中には「宮舞モカ」という強烈な歌唱力のボイスバンクなんかもあったり。
そしてブシロード社がリリースしている「夢ノ結唱」シリーズ。
自分も「夢ノ結唱」シリーズは現時点で3つほど導入しています。
ということはです。
あの時やりたかったけど、諸々の問題で見送っていた歌モノ曲。
これからはどんどん作れるというわけです。
その一環として「LUV TO ME (Kim./TKC REMIX)」や「sunny my princess (Across the Avenue Mix)」、「さくらんぼキッス (UltraEcho 2025 Remix)」なんかを【2nd Re:VISION】では収録しました。
そして「APPEND REMIX 2」では【2nd Re:VISION】で再録した「pain」のKim./TKCによるRemixが、ヴォーカリストを初音ミクから宮舞モカに変更したものが収録されます。
もちろんこれだけではなく、色々と歌モノ制作の予定が各スタッフにあったりします。
……頑張りますのでよろしくお願い致します。
2025.05.20 / UltraEcho a.k.a. funny drunker