皆さんは本屋さんで本を買う時、目次や「はじめに」「あとがき」や著者、値段などを見ますね。
このページはあなたがこの本を購入するための手がかりとして一部転載しました。
わたしはマイチャレンジで使うため3冊買いました。
古いパソコンをLinux化して、一日も早くLinuxの良い気分を味わって下さい。
パソコン人生がすっきり愉快になります。 森 正之
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素朴な疑問を解消しながら学ぶ「入門者のLinux」奈佐原顕郎なさはらけんろう著
【著者紹介】1969年生まれ。岡山県立一宮高等学校、東京大学工学部計数工学科卒。北海道大学大学院理学研究科地球物理学専攻(修士)、京都大学大学院農学研究科森林科学専攻(修了)。モンタナ大学客員研究員を経て、現在、筑波大学生命環境系准教授。専門は人工衛星を用いた地球環境観測と、農学系大学生の数学・物理学基礎教育。
はじめに
あなたはLinuxを使ったことがありますか? 多分あります。意識してないかもしれませんが。
Linuxは、世界で最もたくさん使われている基本ソフトです。基本ソフト(OSとも呼ばれます)とは、WindowsやMac OS Xのように、コンピューターを動かすための「縁の下の力持ち」的なソフトウェアです。スマートフォンやタブレット端末のAndroidという基本ソフトは、実はLinuxをベースに作られています。Googleなどのインターネット検索エンジンで使われる基本ソフトの多くはLinuxです。
テレビやDVDレコーダーの基本ソフトにもLinuxは使われており、選曲や録画、編集、ハードディスクの管理などを助けてくれています。
たくさんのLinuxのお世話になっているからでしょうか、Linuxのことをもっと知りたい、使いこなせるようになりたい、という人が、少しずつ増えているようです。本書を手に取ったあなたもその1人でしょうか?
世の中には、Linuxの入門書がたくさんあります。それは、Linuxを習得したいのにうまくできない、という人が大勢いることの証拠でもあります(もし簡単に習得できるのなら、1冊の薄い定番の入門書があれば十分でしょう!)。なぜLinuxは難しいのでしょうか?
Linuxに関する細かいハウツー情報はネットでたくさん見つかります。たとえば「Linuxダウンロード インストール」のようなキーワードで検索すれば、Linuxをダウンロードしてあなたのパソコンにインストールすることは、簡単にできます(本当です! WindowsやMacでブラウザやUSBメモリを使うことができる人ならば)。Linuxを使っているうちに何かエラ―が出たらば、そのエラ―メッセージを検索すれば、多くの場合、原因や対処法が見つかります。
でも、初心者がLinuxを学ぶときの障害は、そういうハウツー情報の不足ではなく、やっているうちに随所で感じる戸惑いや違和感であり、それは、「Linuxってなんでこうなんだ?」という、イライラした気持ちを伴った疑問なのです。ある意味カルチャーギャップというか。
そういう疑問は、その場その場で無理に解消しようとせず、適当に「スルー」して、とにかくLinuxを学び続けていれば、そのうちに自然に解消するものです。要するに、「習うより慣れろ」なのです。ところがそう言われても、どうしてもいろんなことが気になってしまうのが人間です(特に齢をとってくると!)。人間は、コンピュータと違って、正しい情報と指示を与えれば正しく働くというものではないのです!
本書は、そういう「人間らしい」あなたに、「とりあえず」納得して呑み込んでいただけることを目指します。あなたが「ん? なんでそんなことするの?」「あれ、それだとなんかもやもやする」となりそうなところで、できるだけLinuxを支える文化や考え方をざっくり解説します。それは、ときには合理的な思想だったり、ときには単なる慣習だったりします。それを読んで、「とりあえずはそういう理解でいいのか、ま、それならそれでいいか」という気分になっていただけたら成功です! そして本書で「Linuxってこんなものか」「専門的だと思ってたけど、意外にできそう」「次は厚めの入門書を読もう」などの印象を持っていただけたらもっと成功です!
本書はWindowsやMacはそこそこ使えて(メール、ブラウザ、Officeソフトなど)、なんだかLinuxも面白そうだからいじってみたい、という人を対象とします。これから少しずつお話ししますが、Linuxには、素晴らしい機能がたくさんある一方、できないこと、やりにくいこと、とっつきにくいこともあります。ですから、本書はWindowsやMacを今すぐ捨ててLinuxに乗り換えよう! とすすめたりはしません。
Linuxの魅力は、「みんなが自由に使い、みんなで育てる」というポリシ―や、社会の隅々まで浸透し続ける汎用性、時代を超えても揺るがない堅牢な設計思想など、多くの面にあります。私はLinuxやコンピュータの専門家ではありませんが、そのような魅力を味わった結果、Linuxが仕事や勉強に直接役立つようになりましたし、生き方やものの考え方にも良い影響を受けたと思います。あなたにも、そのような良い体験が訪れることを願っています。
本書の読み方
●本書はLinuxの考え方を体験的に、おおまかに理解していただく本であり、Linux全体を解説するという観点では偏りがあります。本書を読了されたら、より包括的なLinux入門書を読まれることをおすすめします。
●本書は、知識や考え方を次第に積み重ねるスタイルで作っていますので、本文はなるべく読み飛ばさずに順に読むことをおすすめします。ただし、「スルーで」とか「読み飛ばしても構いません」と書いてある箇所や、後述する演習問題は読み飛ばしてもOKです。
●理解を定着させるために、掲載されているコマンドを実際に打ち込んで試し、確認しながら読み進めてください。
●各章の最後に「チャレンジ!」として演習問題を載せています。これらは解かなくても後ろの章の理解には支障ありません。多くは、すでに学んだ知識を使ってちょっとした「イタズラ」をするような内容です。これらを通して、「なるほどLinuxはこういうふうに遊びながら学べばよいのか」と思って頂けたら嬉しいです。
●できるだけLinuxの歴史・文化を尊重するように努めましたが、初心者がスムーズに読めるようにするため、あえて思い切って単純化して書いた箇所もあります。それらは歴史的な経緯や用語法と整合しないこともあります(たとえば、viのモードの説明等)。厳密さを求める人(特にLinuxのエキスパート)には、「それちょっと違うよ」と思われることがあるかもしれませんが、このような趣旨を理解してくださるよう、お願いいたします。
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どうですか? 目が覚めた思いですね。
冒頭の「Linuxは、世界で最もたくさん使われている基本ソフトです。」だけで、あなたは驚かれませんでしたか?(2017.6.1森)