・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・奮闘する太陽熱エネルギー会社の会長〈信仰体験〉 2020年3月25日聖教新聞
・・・・・・・・・・・・独自の技術が「ものづくり日本大賞」に選定
亘さん一家(後列左から時計回りに、長男の妻・和恵さん、妻・三枝子さん、長女・貴美子さん、孫・優理菜さん、孫・大耀君と亘さん、孫・優月ちゃんと長男・大樹さん)
クリーンなエネルギーとして注目を集める太陽熱エネルギーの利用。亘さんの会社では、その太陽熱を利用した独自のソーラーシステムの開発・製造を行っている。 「太陽エネルギーは半永久的で、常に安定供給が可能な特徴があります。それを提供できたときのお客さまの笑顔が、何よりのやりがいです」
一般的な太陽光発電は、エネルギー変換効率が10~20%程度。しかし、亘さんの会社で開発した太陽集熱器「FujiヒートP・SOLAR」は、集熱部を円筒形にすることで、太陽光を効率よくキャッチできるようになった。 重ねて、円筒内に真空層を設けることで取り込んだ熱が逃げにくくなり、瞬時エネルギー変換効率は最大で75%と、高い値を実現。無駄の少ない、環境に優しいエネルギーとして注目を集めている。
より利用者目線に立ったこのソーラーシステムは、平成21年度「新エネ大賞」を受賞。全国の病院や福祉・宿泊施設などに設置されている。
その他、ゼロエミッション(ごみゼロ)事業の一環として、廃食油を清浄・燃料化する装置や、包装食材ゴミ分別機など、多くの環境関連機器を生み出してきた。
「“地球に優しく”がモットーです。微力ながら、環境保全に貢献しているんだと思ったら、うれしくて」。環境のことを語りだすと、亘さんの瞳はひときわ輝きを増す。
だが、新しいシステムを生み出すのは、試行錯誤の連続だった。その中でも信念を貫いてこられたのは、不動の原点があったからだ。
鹿児島・徳之島で生まれた。母・モシさん(故人)と共に、14歳の時、創価学会に入会する。
自宅の庭にあるガジュマルの木の下で、灯油ランプをともし、意気揚々と学会歌を歌った座談会が忘れられない。
高校卒業後、大学進学で大阪へ。学生部の部長として参加した全国学生部大会の席上、池田先生の雄大な学会歌の指揮に心を打たれた。“師子のごとく堂々と”とのエールに思えてならなかった。
その後、商社に勤め、29歳の時に独立。だが、友人の保証人になっていた亘さんに、多額の負債がのしかかった。突然の苦しみの中で脳裏に浮かんだのは、池田先生の言葉だった。 「叶わぬ祈りは絶対にない」
“そうだ! 必ず、この苦境を打開してみせる”。祈りが深まる。亘さんの胸に、ある光景が浮かんだ。生い茂る草木、清く流れる河川……。郷里の風景だった。
“豊かな自然を守る仕事がしたい”と鹿児島へ帰郷を決めた。
どんな時も温かく励ましてくれたのは、27歳の時、結婚した妻の美枝子さん(71)=地区副婦人部長=だった。
「妙とは蘇生の義なり蘇生と申すはよみがへる義なり」(御書947ページ)の御文を命に刻み、家族一丸で祈り抜いた。
帰郷後、太陽熱温水器の営業職に。新エネルギーは、競争が激しい分野。新しい知識を吸収することを怠らなかった。
1986年(昭和61年)、41歳で現在の会社の前身となる「富士ソーラーシステム株式会社」を設立し独立。その後15年間、メーカーの代理店として経験を積みながら、あらゆるノウハウを身に付けていった。
“顧客が喜ぶ製品を”と祈り、製作に取り組む中、真空管ソーラーシステムを完成させた。自社ビルも構えることができた。
「真面目にコツコツと努力を積めば、必ず夢は実現できる。信心根本に歩んだ結果です!」
1998年(平成10年)、亘さんを小脳梗塞が襲う。2008年には、右足膝に骨腫瘍が。11年には、膀胱がん……。
そのたびに「南無妙法蓮華経は師子吼の如し・いかなる病さはりをなすべきや」(御書1124ページ)の御聖訓を自身に言い聞かせた。
同志の温かな励ましも胸に染みた。
「創価家族の励ましがなければ、今の私はありません。病に直面するたびに、“私にはまだまだ広布のために戦う使命がある”との自覚が深まりました。必ず恩返しの人生を歩もうと」
翌年には、県内の工業団地に自社工場を構えることができた。報恩感謝の思いで、自宅を広布の会場に提供。地区の同志が喜々として集う場になっている。
17年に再び、脳梗塞を発症したが、病魔を打ち砕く唱題で、はね返した。
18年、同社の取り組みが認められ、第7回「ものづくり日本大賞」の九州経済産業局長賞に輝いた。「高いエネルギー効率とメンテナンス性で、ユーザー目線に立った製品開発」と高く評価された。
「社員だけでなく、縁する全ての人とつかんだ栄冠です。師匠・池田先生に報恩感謝の思いでいっぱいです」
亘さんは、師の言葉「破壊は一瞬 建設は死闘」を受けて、自らの思いを社訓にまとめた。 「和は力なり 信は強さなり 行は幸を作る 人生は敗者復活の連続 チャンスは必ずある」と――。
毎朝、そらんじる亘さんの声が社内に響く。
(鹿児島支局発)
<長男・大樹さんの決意>
信心一筋に、会社のかじ取りをしてきた父の後ろ姿をずっと見てきました。その陰には母の信心があったからと、ひしひしと感じています。
昨年、代表取締役に就いてからは、その責任の重さに押しつぶされそうになることも。そのたびに父が背中を押してくれ、“絶対に大丈夫!”との力強い声と、OKサインに勇気をもらってます。
学会の先輩も、父も語ってくれた“叶わない祈りは絶対にない”との言葉を胸に、社会の黄金柱として奮闘します!