〈社説〉 2020・4・2 きょう戸田先生の祥月命日 2020年4月2日聖教新聞
「地涌の使命」に生きる喜び
「今日もまた なすなく生きて 日ごよみを 独房の窓に 涙して消す」
「安らかな 強き力の 我が命 友と国とに 捧げてぞ見ん」
第2代会長・戸田城聖先生の獄中の和歌である。獄中生活の嘆き、苦しみを詠んだ1首目に対して、2首目には命の底から込み上げる安心感や誓いがある。その変化には、戸田先生の「獄中の悟達」があった。
1943年(昭和18年)、戸田先生は初代会長・牧口常三郎先生と共に、軍部政府の弾圧によって投獄された。だが、唱題を重ねる中で法華経を身読し、「仏とは生命なり」と覚知した。法華経が説く仏を、誰もが実感できる「生命」と表現したことは、仏法を現代に蘇らせ、全民衆に開いた画期的な意義がある。
戸田先生はさらに、法華経の「在在諸仏土 常与師俱生(ざいざいしょぶつど じょうよしぐしょう)」の文を生命で読み、「我、地涌の菩薩なり」との悟達を得た。「地涌の菩薩」とは、自他共の幸福を開くため、自ら願って末法に生まれ、妙法を流布する使命深き菩薩である。この戸田先生の悟達こそ、創価学会の確信の原点にほかならない。
牧口先生は獄死したが、45年(同20年)7月3日、戸田先生は出獄。学会の再建に立ち上がり、一人一人の生命に地涌の使命に生きる喜びを灯した。
池田先生は、恩師の獄中の悟達について、「自身の本源の生命に生きぬいた人は、どれほど尊いか。どれほど強いか――そのことを私どもに命懸けで教えてくださったのが戸田先生です」と。
経済苦や病気、人間関係の悩みなど、人生にはさまざまな試練がある。そうした苦難を抱えながら、悩める友に寄り添い、励ましを送っていく。広布の使命に徹する時、地涌の菩薩の大生命が、自身の胸中にみなぎる。それが、宿命の嵐を勝ち越える根源の力となる。
宿命は使命に変えられる――その確信をつかんだ同志が国境を超えて立ち上がったがゆえに、創価の連帯は世界192カ国・地域へと広がったのである。
地涌の菩薩について、「其の志念は堅固にして 大忍辱力有り」(法華経459ページ)と説かれる。「仏道への志が堅固であり、大いなる忍耐力がある」との意味である。
新型コロナウイルスの感染拡大で、世界は今、大きな不安と緊張に覆われている。私たちは地涌の使命を胸に、一日も早い終息を忍耐強く祈り続けたい。
きょう4月2日は、戸田先生の祥月命日。「地球上から悲惨の二字をなくしたい」――「4・2」とは、この恩師の“信念の松明”を受け継ぐ誓いを新たにする日である。
戸田城聖第2代会長
「在在諸仏土 常与師俱生」とは、法華経化城喩品第7の文で、「師匠と弟子とは、あらゆる仏国土にあって、いつもいっしょに生まれ、民衆救済に戦っていく」という師弟の絆を述べた言葉(大白蓮華2020.4月号102頁)
「菩薩」とは、仏の悟りを得ようとして、不断の努力をする衆生(同76頁)
「地涌の菩薩」法華経では、末法の広宣流布が地涌の菩薩に託されます。地涌の菩薩は、久遠からの釈尊の弟子として、鍛え抜かれた菩薩(同68頁)
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