高速増殖炉もんじゅ, 海水からウラン捕集その後?

2010年5月6日, 1991年から試運転を開始し, 1995年末のナトリウム漏れ事故で停止していた高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)が午前10時36分,運転を再開した.

何が危険なのかよく質問される.

電気事業連合会の広報に,次の記載がある.

高速増殖炉(FBR:Fast Breeder Reactor)は、 発電しながら消費した以上の燃料を生成できる原子炉です。 高速増殖炉の炉心の周辺は劣化ウランなどで囲み、 この劣化ウラン中のウラン 238がプルトニウム239に変わり燃料となります。 高速増殖炉は、 高速中性子をそのまま利用するもので減速材は使用しません。 冷却材には中性子を減速・吸収しにくいナトリウムを使用し、 原子炉で発生した熱で水を蒸気に変えタービンを回します。

これだけ読めば, 悪いことは何もない.

しかし, これまでにかかった費用は莫大であり, 停止していても費用が嵩み建造費, 修理費を含めると1兆数千億円を越えているそうである. 当初の計画通りに実現していたら, かなり前に商業運転を始めているはずである.

もんじゅの前に常陽という実験炉(熱出力140MW)が1970年着工, 77年臨界になったが, 2007年6月に炉内の機器損傷を起こし, 現在停止中である. 科学評論家によれば, もんじゅの計画が今後順調に行っても, 2050年頃になるとのことである. 一方, インドは2010年に商業運転を開始すると報道されている.

”資源のない我が国には必須”と言われれば, 素人は何も言えない. そこで思い出すのは, かなり前の朝日新聞の報道である. ある化学者が海水からウランを取り出す画期的な方法を考案したと書いてあった. 全国紙一面であったと記憶している. クラウンエーテルの金属包接能を利用した方法であるが, その後実用化されたか研究結果を知りたいものである.

[一言] 研究費獲得のための”大”大学特有の事前広報だったと聞かされたことがある. 新聞社も報道記事のbefore-afterに心掛けてもたいたい.

(平成22年5月6日)