徳島県勝浦郡上勝町に行政視察に行きました。(クラフトビール編)
2024年11月5日(火)~6日(水) 私の所属する会派、大政クラブメンバー10人で徳島県勝浦郡上勝町に行政視察に行きました。
視察箇所は、2カ所です。
1日目は、「ゼロウェイストセンター」という町内唯一のごみ収集場を見学させていただきました。
詳細は、徳島県勝浦郡上勝町に行政視察に行きました。(ゼロウェイスト宣言編)2024年11月5日(火)~6日(水) をご参照ください。
2日目は、「ライズ&ウィン ブリューイングカンパニー」様のシヨップとクラフトビール工場の見学をしました。
詳細は、下記の記事をご参照ください。
どちらの施設も、上勝町の「ゼロウェイスト宣言」(2003年に宣言)に則り、発起、運営されています。
ゼロウェイストとは、「ごみ、無駄、浪費を失くす」という意味です。
上勝町は、人口1400人に満たない山あいの小さな町ですが、世界から注目されている町でもあります。
この小さな町「上勝町」が全国から注目されるきっかけとなったのが、料理に添える葉や花を「つまもの」と言いますが、そのつまもの出荷の「葉っぱビジネス」をおじいちゃん、おばあちゃん達が行い年商2億円以上の産業にさせた事です。
そのスタートは、1986年でした。
現在もブランド名『彩(いろどり)』として『葉っぱビジネス』は上勝町ブランドとして続いています。
第2のブランドとして、2003年に「ゼロ・ウェイスト宣言」をされました。(ブランドという表現は適切でないかもしれませんが、わかりやすくするために使わさせていただきました。)
「ゼロ・ウェイスト宣言」では、出来る限りのごみの分別と資源化を行う、としています。
地域にあるものすべてを活かすという発想で無駄ゼロの「葉っぱビジネス」が源流になってもいます。
今回の視察は、2003年の「ゼロ・ウェイスト宣言」から今日までの、上勝町の、挑戦、軌跡、変化、これからを学んできました。
大口町のまちづくりの一助になればという想いであります。
11/6(水)「ライズ&ウイン ブリューイングカンパニー」視察
「ライズ&ウイン ブリューイングカンパニー」様のBBQ&ジェネラルストアです。ゼロウェイスト宣言に基づいて廃品、不用品などを用いた店舗作りとなっています。
奇抜性をあえて狙った店舗デザインになっています。その筋では有名なデザイナーさんが設計されたとの事です。
ちなみに社名の「ライズ&ウィン」とは、「ライズ→上に」「ウィン→勝つ」の訳で、上勝町の文字を活かして名付けされています。
この中でクラフトビールを作っています。(第1工場)
ゼロ・ウェイスト宣言から、地域にあるものすべてを活かすという発想で農家にとって廃棄対象となる搾汁後の柚香(ゆこう)の皮を活用してクラフトビールを作っています。
ちなみに柚香(ゆこう)とは、橙(だいだい)と柚子の自然交配種の果実です。
国内生産のほぼ100%が徳島県産であり、その大部分が上勝町産です。
近年は徳島大学の研究チームが明らかにした健康成分により、さまざまな機能性をもつスーパーフードであることも話題となりました。
柚香は「幻の果実」とも呼ばれており、四国でもその存在を知らない人が多いそうです。
こちらは、第2工場です。東京で「ライズ&ウイン ブリューイングカンパニー」様のクラフトビールを販売したところ第1工場の生産供給では間に合わなくなり、第2工場を作ったそうです。
第1、第2工場ともに土地は上勝町から借りているとの事です。年間1万~2万円くらいの地代のようです。
「ライズ&ウイン ブリューイングカンパニー」様の親会社(株)スペック様は、検査会社であります。
その事もあり、ビール作りに必要なイースト菌や酵母菌などの変化を数値で追っています。
従来の杜氏さんが長年の勘と経験で行っているところを、検査会社という事もあり化学的にアプローチをされています。その検査場がこの写真になります。
出来立てのフレッシュなビールの試飲をさせていだきました。
こちらは、最終工程の場です。ビール作りから出た「モルトかす」をどうするかが課題でありました。
そこで、生ごみ処理機の会社に相談したところ、「モルトかす」に腐敗菌の微生物を入れ「液肥」にする処理機を作っていただき、それが稼働しています。
その液肥は、地元の農家さんたちに無料で配布しています。
ビール作りにおける全ての循環がココで完成されました。
ご案内、ご説明をいただいた(株)スペックの池添さん(写真 左 三重県出身 移住者)から、
「この装置を、現在、三菱地所さんが作っている東京では一番高い建物になるビルに導入する予定です。その事業にもコミットしています。」
との事です。
ビル内で出た生ごみを液肥かし、ビルの菜園に使うそうです。
言葉では簡単に言えるのですが、上勝町だからこそできるビックプロジェクトだと思いました。
三菱地所と上勝町のコラボ事業は、下記からご覧いただけます。
廃棄物再利用率100%に向けた取り組み「サーキュラーシティ丸の内」第4弾ゼロ・ウェイストタウン徳島県上勝町の資源循環の取組みと連携(三菱地所ホームページに移ります。)
池添さんは、
「クラフトビール作りは、ゼロウェイスト宣言に基づいての運営ではありますが、そのビールが美味しくなくては全く意味が無いので、その美味しさにこだわって作っています。」
とお話しをされていました。
循環型、環境に配慮、ゴミを出さないなど、その理念はすばらしいですが、それが継続的に成り立っていくには、経済性や合理性の観点も見過ごしてはいけないと思います。
それらがバランス良く、無理をせずに、それでいて確実に前進をしている上勝町の姿をこの2日間の視察で学ばさせていただきました。
この経験、知見を大口町に活かしていきたいと思います。