先進地視察(北海道伊達市他)に行きました。
10/2(水)~3日(木) 先進地視察という事で北海道に行ってきました。視察先は、2カ所です。
視察メンバーは、町長、教育長、役場職員4名、そして私たち文教福祉常任委員会に所属する議員7名、合計13名でした。
「なぜ、北海道なのか!」という事ですが、この地(北海道伊達市)には平成30年に新設された「給食センター」(ふれあい だて歴史の杜食育センター )があり、そのセンターが災害時9900食の炊き出し機能も有するものになっているという事で、そのあたりを学び、今後、大口町で予定している給食センター建設の一助にしたいという事です。
実際に、その年の9月、北海道胆振東部震災時に北海道全域が電力供給がストップし、いわゆるブラックアウト(全域停電)が起こったさいに、自家発電による炊き出しを行われたとの事です。
そういった実績もあり、この地に赴いたのです。
この給食センターは、前市長の肝いりで建設されました。
費用は、平成大合併の特例債を使って建てたとの事です。
給食センターを建設するさい「学校給食だけではもったいない」という事で以下の3点について検討され建設計画に盛り込まれました。
1.防災機能を持たせることはできないか。
2.付帯施設を持たせることはできないか。
3.市民の健康に資する事業も行えないか。
です。
これらのコンセプトをもとに現在の給食センターが出来たとの説明をいただきました。
また、当時の市長が民間出身であったため建設、運営にあたっては出来るだけ民間企業によるものと、という指示もあり、PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)による事業方式を採択され、建設やマネージメント、その後の運営は、民間事業者で行っており、市は年間委託料と光熱費を持つのみで行われているとの事です。
当時の市長の指示、人脈などで、PFI方式を採用されたようで、伊達市にとってこのPFI方式は初めてだったとの事です。
大口町がこの方式を取り入れるか否かはわかりませんが、一つの手法として学ぶべき点は多くありました。
さて、北海道の地までわざわざ、という考えもありますが、災害時の給食センターの活用、そして実際の災害時に稼働させた実績を持つのが、北海道伊達市の「ふれあい だて歴史の杜食育センター 」という事で視察をさせていただきました。
百聞は一見にしかずの諺ではありませんが、大変勉強になりました。
この学びと経験を今後の大口町に活かしていきたいと思います。
ふれあいだて歴史の杜食育センター 全景
もう一つの視察先は、千歳市にある「株式会社アーキビジョン21」様(住宅メーカー)です。
こちらは、災害後の対応について、仮設住宅を念頭に視察に行きました。
その仮説住宅を想定した「株式会社アーキビジョン21」様の「移動式木造建築物スマートモデューロ」について、その汎用性と機動性を勉強させていただきました。
「移動式木造建築物スマートモデューロ」とは、コンテナハウスをイメージしていただくと良いかと思います。
断熱性・気密性・遮音性・耐震性・耐久性、すべての性能を詰め込んだ高品質な建物で、移動可能の建物です。
様々な使い方が可能となっています。
例えば、事務所・ホテル・従業員宿舎・カフェ・医療用隔離施設・公共トイレ・保育施設……等々。
ユニットの組み合わせにより、小さな建物から大規模な施設まで対応することができるとの事です。そのひとつひとつをアーキビジョン21様の自社工場にて製造しているため、天候等に左右されることなく「最速2週間」というスピード納品を実現させていらっしゃいます。
移動式木造建築物「スマートモデューロ」の詳細はこちらをご参照ください。ホームページに移ります。
この製品は、特に災害後の復興段階で力を発揮されています。
例えば、被災者の方々の仮設住宅や復興作業を行っていただく業者様の宿舎などに活用されています。
今年の1月1日に起きました「能登半島地震」では、仮設住宅として全国で一番早く納入され、そして一番多く納入している、との事でした。
私が感心して興味深く思ったのが「気密性」です。
木造の構造物ですが、外周のシールドを厚くし隙間なく埋める事により、超気密性を実現されています。
気密性を格段に高めることで、断熱、遮音、耐震、耐久も自ずと上がります。
その事の副産物として、下記の資料にありますが、窓(3重窓)、天井、床の温度がほとんど変わらない、という実績値が出たのです。
この事は、社長さんも想定外の数値で、作った自分たちが大変驚いた、とのお話しをされました。
当然、冷暖房費がかなり抑えられるという事です。
昨今の温暖化、燃料価格高騰など、冷暖房費のコストは非常に高くなっています。
これからもさらに高くなることが予想されます。
そのような中、建物自体の気密性能をあげる事で冷暖房費を抑えるという発想は、私にはとても新しいものでした。
ただし、換気は必要になりますので、1日中エアコンをつけっぱなし、という状態になります。このあたりが、日常生活を送るうえで「慣れ」が必要となってきます。
この生活が難しいという人も当然出てきますね。
私は、仮設住宅など期間限定の短期入所なら「有り」ではないかと思いました。
町長も感心しており、「株式会社アーキビジョン21」様と何らかの協定を結ぶかもしれません。🙂
「移動式木造建築物スマートモデューロ」の内観です。
「移動式木造建築物スマートモデューロ」の外観です。
2日間の視察を終え、こうしてまとめを書いているのですが、視察先の先進的な取り組みを「見て」「聞いて」「質問して」の学びは、多くの気づきがありました。
この事をそのまま大口町に当てはめる事はできませんが、この事を大口町に取り入れたらどうなるかの想定はできます。
その想定の中で取捨選択を行い、大口町なら「こうする。」というものが作られていくのだと思います。
町長は、
「ふれあい だて歴史の杜食育センター 」をそのまま大口町に入れるのではなく、この学びを活かして大口町に合った給食センターを作っていきたい、とおっしゃっていました。
私も同感です。
今後の展開を私なりに見守っていきたいと思います。